昼間のジャマ=エル=フナ広場
お湯事情がよくないモロッコの安宿にて、チョロチョロとしかお湯が出ないシャワーで体を洗うのは、思いのほかストレスがたまる。異国で湯船までは所望しないものの、たっぷりのお湯で体を洗うほうが気持ちいいよね、と地元の人に話をしたところ、モロッコ式のハマムに行くよう勧められた。
ハマムとは、イスラム教徒がモスクにいく前に垢を落とし、体を清める公衆サウナとのことだ。気候が乾燥しているので、週に数回しか入浴しないという彼らの自宅には浴室がなく、多くの人は街中のハマムに行くと言う。想像するに、日本の銭湯のようなものなのだろう。より地元の文化を体験したいなら、垢すり用のミトンを買って試すといいと教わったので、街歩きを兼ねて探してみることにした。
バザ〜ルでござ〜る
ハマム用品を売る屋台
大道芸人や屋台で賑わうジャマ=エル=フナ広場を抜け、土産物を冷やかしながらバザールをどんどん進むと、いつしか地元の人の生活エリアに入り込んでいることに気がついた。土産物ではなく、化粧品や野菜市場、金物などの店や屋台が増えてきたのがその証拠だ。ほどなくして、手押し車にお風呂用品を満載した商店を見つけた。「ハマ?ム?」と声をかけると、垢すりミトンを渡してくれたので5 Dirham = 約50円でお買い上げ。
さっそく、モロッコの男も女もすなるハマムといふものを、日本の私もしてみむとてするなり!!
これぞローカルハマムなり
ハマムは言ってみれば薄暗い、蒸し熱い部屋だった。湯船もシャワーも何もない銭湯、と想像してもらえると正しい。数カ所に設置された蛇口から各自バケツにお湯を汲み、体を洗うというシステムになっている。この蛇口近くには、でっぷり超えた現地の女性が陣取っており、豊満な胸やお腹の肉を持ち上げ、念入りに垢を落としている様子は圧巻である。
私には持ちあげるほどの胸はないが、ミトンでひとしきり体を擦ってみると出るわ出るわ。
噂のアレ
普段からきれいに洗っていたつもりだが、恐るべきはモロッコのミトンパワーである。
しかも、しっかり垢を落としたつもりが、現地の垢すりおばさんに肩口をなでられ、「まだまだね」とばかりにニヤッとされたのが、ちょっと悔しい思い出である。
郷に入りては郷に従えの通り、旅先ではローカルに倣えば面白い体験ができる。
そんな事を教えてくれた小さなミトンは今、私の自宅で大活躍中である。 さて、今宵もつるんと一皮剥けるとするか。