今年一発目の銭湯民族だな。昨年は地元浅草から北海道は札幌まで、全国の銭湯を渡り歩く“湯流し放浪男”と化したのだ。そんなわけで今年も一年、“湯”だけに、水商売人として渡り歩いてゆくのでどうぞご贔屓に。
さて、ここらで少しマジメな話をしようじゃないか。現在私は、少なくとも週一のペースで銭湯に通っているわけで、そうなるとまあ、いろいろな銭湯のオーナーさんと話す機会を持つわけですよ。実際今のご時世、銭湯経営を続けてゆくのはひじょうに厳しい。これはどこのオーナーさんも口を揃えて言いますね。
直接的な原因としては、やはり湯客の高齢化による客数の低下が上げられるが、そればかりではなく、後継者の不足や、湯を沸かす原料費の高騰など、経営を圧迫する要因は様々なわけです。
我々銭湯ファンとしては、銭湯の滅亡を単に指をくわえて眺めているだけではいかんだろうと。銭湯をこれ以上失ってはいかんと!そう思うわけです。
というわけで、今年はやるど。各地で銭湯のイベントを開催していくど!と、先日友人と酒を酌み交わしながら熱く語り合ったわけです。
酒の席での話しなので、テンションの高さは通常の8割増くらいになっていたと思うが、残りの2割は本気だ。ああ本気だとも。まあ、この件に関しては乞うご期待。
さて、ここからはいつものペースでいこうか。突然ですが、オレは地蔵が好きだ。あの小ぶりな丸顔がたまらなく好きだ。だから今回は、豊島区は要町にある「地蔵湯」に潜入するのだ。
地蔵湯は商店街にあるビル型銭湯。ハイカラな外観は、一瞬銭湯であることを忘れさせるような品格に満ちている。
入り口脇にある券売機で湯券を買って中に入ると、そこはもう脱衣場だ。男は黙って服を脱げ。何もかも脱ぎまくれ。
浴場は浴槽一つと小ぶりながら、清掃が行き届いていて実に清潔である。並々と注がれた澄んだ湯は、すりきり一杯の風情だ。
常々思うが、銭湯は何が一番大切かって、やっぱり清潔感だろうな。これに勝るものはないよ。近頃はいろいろな種類の浴槽を用意して、バリエーションで勝負しているような所もあるが、やっぱり清潔じゃないといけないな。中にはひどいところがあるもの。
いつぞやなどは、浴槽に油膜や垢がブカブカと浮いていて、なんだか地獄の釜にでも浸かっているような気分になるところがあった。
地蔵湯の湯は誠に清潔で気分が良いのである。ちなみに女湯の脱衣場には女将の活けた季節の花などがあり、しみじみと心意気が伝わってくる。
こうした湯に浸かった後というのは、ビールの味も格別だろうな。というわけで、地蔵湯を後にした私は、同じ商店街にある酒場の暖簾を分けたのであった。