弥生3月。桜丘の誇る桜通りに、もう間もなく桜がほころび始める。
並木一面が満開ともなる3月下旬にもなると、その下でお花見をしたくもなるのだが、桜通りはいかんせん車道と歩道しかない。シートを広げて大宴会などできようはずもないが、そんなときに強い見方となるのが沿道の飲食店。そのなかでもお花見で有名といったら、そう、『マンダラ』だ。店内の並木側に広がる大きな窓から見える満開の桜は、普段あまり草花を気にしない人間でも、心を奪われる美しさで……。
「そうですよー! マンダラと言えばお花見お花見。今年も3月26日からお花見パーティで予約を受け付けます。おひとりさま3675円(税込)からですよ!!」
そう教えてくれたのは、マンダラの店長であるサキャ・スニル・クマールさん(スニルさん)。人懐っこい笑顔で出迎えてくれたスニルさん、正真正銘のネパール人だが日本語を話すも聴くも完璧なのが驚きだが、ネパールで日本語を学んだ後は、日本人観光客などを相手に通訳やガイドをしていたと聴いて納得。
「ネパール語、日本語だけじゃなくて英語とフランス語とスペイン語も大丈夫ですよ。ネパールの学校では教科書はみんな英語だったりしますから、まず英語は必修ね」(スニルさん)
さて、ネパールで日本語ペラペラ生活を送っていたスニルさん、99年4月に来日を果たした後、1カ月後にマンダラ開店……「これ、話をもらって日本に来たんじゃないんですよ。まったくの偶然(笑)」(スニルさん)とのことで、瞬く間に日本で社会人になってしまったのだった。
それから約12年。
「ここに来てからね、まったく病気しなくなったの。それまで僕、すごく頭が痛くなるときがあって、『あああ、医者がいなきゃ死んじゃう』って思ったり、ノコギリで頭を切り落とそうかと思ったこともあるくらいで(笑)。それが……それまで、ネパールではあまり食に気とかを使ってなかったのだけれど、ここ(マンダラ)では食べるよりも、お客さんに出す側ですよね。だから、材料にあまり油分を使わないとか……牛乳やバターとかギーとか、化学調味料を使わないような調理をして、それを僕も食べているうちに、頭痛もなくなったし、医者にもかからないでよくなった。僕のお父さんも医者にかからなくなったし、子供も3人(奥さま日本人です)いるけど医者も予防接種もしたことないんですよ。だからね、マンダラに来ると健康になれるよ、ハハハハハ!」(スニルさん)
そう満面の笑顔で、そしてペラペラの日本語で話すスニルさん。
「そうそう、僕はネパールの占いもできて、それは別の名前もあるんですよ。名前はね………………それはなんか教えるの恥ずかしいなあ(笑)。お店では占いもやってますから、そのときにみなさんに教えます、ねっ!」
お店はもちろん、名物店長ももう桜丘に溶け込んでいるこの『マンダラ』。お花見も楽しみだが、とりあえずスニルさんに会いに行く、それもきっと楽しいですよ。
Q・あなたにとって桜丘とは?
「おとなしいというか、上品な街ですね」
ムード溢れる照明の下、店内を彩る調度品の数々はネパール色満載の物ばかり。
ところで、壁に貼りついている足跡はいったい……?
「ああ、これイエティ(yeti)の足ね。ヒマラヤの雪男ですよ。開店したとき、ここにみんながメッセージを書いてくれたよ」(スニルさん)
下の写真、味のあるドリンクメニューから選んだのは、ネパールビールの『ムスタング』(右)と、ネパールのラム『ククリ』。ククリとはネパール型のブーメランのことで、ブーメランくらい鋭く利くとか利かないとか
こちら『モモ』で
ございます
(840円・税込)
小籠包といいますか、蒸し餃子ですね。弾力のある皮にしっかり肉が詰まっております。敷き詰められたトマト系のソースで召し上がれ。ちなみに辛くはないですよ、これ
やはり食べたい タンドリーチキン
(2ピース840円・税込)
よく真っ赤っかなタンドリーを見かけますが、きれいなキツネ色で味もきっちりスパイシー。脚がジューシーで胸がシッカリというのは某フライドチキン屋の陰謀か、そう思うほどジューシーな胸肉がウマい!
人気はやっぱりチキンカレー(1365円・税込)ですよ
辛さよりもまろやかな味わいの中にゴロッと鶏が泳いでおります。あとお皿が意味をなさない大きさのナンも忘れちゃいけません(420円・税込)。ナンだけでも難ではない大きさ(ダジャレ)、そして味わいね
スニルさんとパチリ★
「マンダラで食べていれば、医者いらずですよ。ハハハハハハ!」
力強いスニルさんの言葉に、
アラそれなら安心と昼間から乾杯する還暦過ぎのおばちゃん(笑)
【今回の桜な人々】
マンダラ(渋谷店)
サキャ スニル クマール さん
〒150-0031
渋谷区桜丘町16-9
DK渋谷ビル3F (マップ)
ホームページ(ぐるなび)
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