語学教材の中に各国人生あり――フィンランド語教材を買う


110209_02_01.jpg
この中にフィンランド人の人生物語あり

外国に住んでいていちばん切実な問題、それは語学能力である。これがあれば簡単に解決する問題は少なくない。たとえば、数字を言ったり聞き取れないと、マーケットでぼったくられてもまったく気づかず、11個以上の品物を買う時に、ボディランゲージ表現で苦労するのである。

というわけで、とりあえず語学教材を買いに走る。フィンランド語習得のために、初級教材と辞書を購入した。パラパラと眺めているうちに、フィンランド人らしき女性と男性のイラストを発見。比較文型の例文はこんな感じ。


110209_02_02.jpg
175cmのラッセと190cmのライラ

「ラッセ(男性)は175センチです。ライラ(女性)は190センチです」
「ライラはラッセよりも背が高いです」

おおー、さすが北欧。女性の身長がすばらしく高い。

「ラッセは何をしていますか?」
「夕食を作っています」
「ライラは何をしていますか?」
「お風呂に入っています」

おおー、さすが北欧。これは典型的なスカンジナビア・ハズバンド!(男性が家事をし、女性は限りなく自由に!)

さらに、バーからふらふらに酔っぱらって出てくるラッセ。
「ラッセは毎晩バーに行きます」
「ラッセはたくさんウォッカを飲みます」
フィンランド女性の恐妻家ぶりは有名で、夕方のバーには犬の散歩と称して、妻のグチ(プラスおのろけ)をこぼす男性たちが出没するらしい。



110209_02_03.jpg
ライラ、ラッセの炊事中にお風呂を楽しむ


110209_02_04.jpg
ラッセ バーでふらふらになるまで酔う

そう言えば、イタリア語教材の中の比較文型例文はこうだった。
「ヴィットーリオはブルーノより誠実だけど、定職がない」
「ブルーノはヴィットーリオよりずっとお金持ちだけど、移り気だ」

これ、ものすごく実用的で、そしてなんだか哀しい例文。この教材の登場人物、ヴィットーリオと、この例文の発話者ロベルタは恋人同士。 ところが、ヴィットーリオは兵役でしばらくロベルタのもとを離れなければならない。そこへブルーノが登場。

110209_02_05.jpg
辞書と子供用ABCブックも購入

ロベルタはブルーノの財力に支えられた魅力に夢中になる。どの国でも、女性はなかなかたくましいのである。

そして日本語教材は……。
「東京より千葉の方が家賃が安いです」
かなり切実……。

語学教材の中に、各国人生物語あり。マジメに勉強するのもよいが、教材の登場人物研究もまた楽しい。しかしこれではマーケットでぼったくられ続け、11個以上の品物を買えないままではないか???