「野望のない男はダメだよ」
その昔、会社員時代に先輩からいただいたひとこと。どんな経緯でこのセリフが登場したのかは覚えていないのですが、ただでさえ優柔不断なムコ殿に、このひとことは今でもときどき十字架のように重くのしかかってくるのです。
それ以降、ムコ殿なりのささやかな抵抗として、行きたいお店、食べたいものや飲みたいお酒の銘柄、気になる本や映画に出会ったら、手帳の後ろのほうにツラツラと書き連ねるのがクセになりました。便宜上、「野望メモ」と呼ぶことにします。これが野望かって? 野望に大きいも小さいもないのです。
ちゃんと鹿児島県の認定マークが
サイズはリップクリームよりもちょい大きいくらい
さて、先日のこと。鹿児島の種子島産のブランドさつまいもとして超有名な「安納芋」についての原稿を書いたのですが、資料しか届かず、「甘さたっぷり!」とさんざんあおったくせに実物にはありつくことができず……。
しかたなく例の野望メモに「鹿児島の安納芋、ブランドさつまいも!」と書いておきました。
ところが、その数日後に小さな奇跡が。件のブランド芋になんと近所の激安スーパーでお目にかかったのです! ちょっと小ぶりの安納芋が5個で298円と驚きのプライス。通販サイトを見ると「3キロ3000円」とか書いてありますから、奇跡的なお値段ですね。すぐさまお買い上げです。レジのおばちゃんにふだんより2割増しでお礼をいいつつ家路を急ぎました。
いもの断面はふつうのさつまいもよりも
黄色みを帯びてます
今日はレンジの“お手軽蒸し”でご勘弁を
「ブランド芋がどれくらい美味しいのか」
そればかりが頭をちらついてとにかく早く食べたいムコ殿。今回は、密封袋とオーブンレンジの“お手軽蒸し”いただくことにしました。
ためしに芋を切ってみると、その断面はふつうのさつまいもよりはるかに黄色い! 「水分が非常に多いため、クリームのようにネットリとした食感」という安納芋の売り文句がリフレインしてきました。いやでも期待は膨らみます。
蒸しあがり!
ホクホクの湯気と甘さが伝えられないのが残念すぎる
よく洗って、水気を残したままで密封袋に。あとは期待を込めてオーブンレンジにまかせます。思惑どおり5分ほどでふかしあがりました。
アツアツの芋を割ってみると、中は美しい黄金色。レンジを使ったわりにはねっとりさも感じられて、見た目にも濃厚な味が伝わってきます。それに香りがいい! レンジからはすでに甘〜い香りが漂っていたのです。
さて、実食。さつまいもをほおばるなんていつ以来でしょうか、やさしい甘さがしみ渡りました。絶品です、これ。奇跡なんて待たずに、おとりよせしてしまっても損はないですよ!