ナイトランナー―ボディーガード工藤兵悟1

さて、文庫本268ページと1行の距離感をすっかり見失なってしまって読み終えるが、読後感は案外、悪くない。
強い酒を勢いに任せて一気に飲み下したが、その割にむせ返りもせず、かといって最後の一滴を啜った直後、昏倒してしまうような、良質な酒はどう飲んでも旨いというような……。
タイトルコールの次の瞬間から猛ダッシュで走り出す。恐怖に振り返る暇もないほどの逼迫(ひっぱく)感。
まあ、逃げる逃げる、どんどんまだまだ、逃げる逃げる。その緊張感の連続に、さすがのスピード狂読者も息が上がる。
はらはらドキドキしっ放しで、しまいに呼吸困難。それでも止まない疾走劇にもはや心肺停止寸前で、まさかのどんでん返し。やれやれ、ほんの一息ついたかと思う間もない、またもやの大どんでん返し。
残りわずか数ページの胸算用もついつい置き忘れてで顔面蒼白、「オー、ノー」なチアノーゼ状態。ひくひくしてすんでのところで大息ついて、息を整えながら最後の1行を読み終えれば、もうシリーズ2作目に手が伸びる。

大概のスピード狂読者も目を回すクレイジードライブ・カーチェイスな猛スピード展開ミステリーを心行くまでどーぞ!

あ、悪酔いはしないから安心よ〜。


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作者名:今野 敏
ジャンル:ミステリ
出版:ハルキ文庫

ナイトランナー―ボディーガード工藤兵悟1