刺繍のABC

いつの間にやらすっかり秋。
秋といえば、食欲・芸術・スポーツ……いろいろありますが、どんな秋をお過ごしでしょうか?
ま、読書録を読んでる方々ですから、もちろん"読書の秋"だと答えが返ってきそうですが。
しかし、そんな方々にあえて今回は別の秋をおすすめ。秋の夜長に黙々と集中する、とってもインドアな過ごし方……“刺繍”。

最近ではコンピューターミシンも手頃になり簡単に自動で刺繍もできるようになったが、それじゃ味気ない。下手でも雑でも、チクチク地道に針を刺す……それが味ってもんだ。

……って「これは読書録ではない!!」と指摘されそうだが、ちゃんと本も紹介。

この『刺繍のABC』は、よくありがちな教則本ではなく、初心者向けのコツを集めたわかりやすいテクニック集だ。ページをめくる度にイラスト集を眺めているような感覚で、刺繍の可能性を想像することができる。1ページの空間の使い方も贅沢で、1ページに1?2種類のステッチをイラストで説明。これだけ大きくイラストで説明してるから、とてもわかりやすい。実際の作品を掲載しているページなんて、最近流行のナチュラル系のファッション誌か?!と思ってしまうほど、ステキな写真ばかりだ。

『あ、シャツにも刺繍できそうだ』、『お、セーターにも出来るのか……』、『え、靴にも?!』

この本を眺めていると、思わず自分の持ち物に刺繍できる場所を探したくなってしまう。

ファストファッションが主流な最近の日本のファッション。安くてシンプルなのも良いが、道ですれ違った人と同じものを着ていて気まずかった経験はないだろうか? それがかなり年代の違う人だったりすると、さらに気まずい思いをするだろう。
それが“刺繍”という方法で、ちょこっと手を加えるだけでオリジナリティーを出すことができる。……ま、自己満足だったりもするが。自己満足でもオリジナリティーを持つ事はひとつの自己主張だと思う。

もちろん、わが家の洋服たちも刺繍でデコレーションしてあったりする。最近は主にチビの洋服が標的だ。

それに手芸だからって別に女子に限った趣味ではない。“お弁当男子”が当たり前の現代、“手芸男子”だってありなのではないだろうか? むしろ下手な女子より、男子の方が繊細な作品を生み出すかもしれない。

秋の夜長……読書だけではもったいない!! この本を眺めながら、刺繍もぜひお試しあれ。

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作者名:大塚 あや子
ジャンル:刺繍教則本
出版:雄鶏社

刺繍のABC