商売繁盛間違いなし!コカの葉っぱで成功祈願

先日、近くの公園で新しいフェリアが開催されると聞いて、さっそく出かけてみた。「feria」とはスペイン語で「見本市・展示会」という意味で、今回のフェリアはリマ近郊で採れる新鮮な作物やコーヒー・チーズなどの特産品、またオーガニック食材で作られたパンやケーキなどを販売するものだ。ちなみに「フェリア」には「祭り・縁日」という意味もあるのだが、その共通点は必ず美味しいものがあるということ。だからペルーのフェリアは見逃せない。


090713_01.jpg
ぶつぶつと何やら怪しい呪文
を唱える男性

会場ではちょうど開会式の真っ最中。多くの関係者や来場者が見守るなか、アンデスの帽子チューヨとポンチョを身に付けた男性が、大地の女神パチャママにフェリアの成功を祈っていた。パチャママはアンデス地方で信仰されている、豊穣を司る神だ。ペルーはカトリックの国だが、このパチャママだけは聖母マリアと同一視されているところがあり、今でもアンデスでは人々の深い信仰を集めている。

その大地の女神への祈りに欠かせないのが、コカの葉だ。コカはご存じコカイン(麻薬)の原料となる植物。世界中で目の敵にされているが、ペルーではとても身近な存在で、疲労感、空腹感を和らげ高山病予防にもなるため、そのまま噛んだりお茶として飲むなど、ごく普通に使われている。酸素の薄い高地で飲むコカ茶は、どんな飲み物よりも心身をリラックスさせてくれるものだ。

開会式のラスト。フォルクローレバンドのサンポーニャやボンボのリズムが会場を盛り上げるなか、参加者によってコカの葉とバラの花びらが火にくべられる。人々の様々な願いが込められたコカの煙はゆらゆらと辺りに立ち込めた後、すぅっと天に向かって消えていった。

090713_02.jpg
乾燥したコカの葉。
このまま噛んでもハーブティーにしても


090713_03.jpg
乾いたサンポーニャの音色が、
アンデスの雰囲気をかもし出す

さて買い物タイム! 新鮮で美味しそうな野菜や果物、手作りチーズやヨーグルトを眺めていると、コカの葉を噛んでいないためか私は空腹感に襲われ、思わずその場ですぐ食べられる切り売りのケーキやクッキーばかりに手が伸びてしまった。
また大盤振る舞いの試食に釣られ、つい買い物してしまう客も多かったようだ。パチャママのお陰で客も出店者も満腹満足、フェリアは大成功に終わった。

090713_04.jpg
全粒粉やナッツをたっぷり使ったケーキ
やパンは、噛むほどに味わいが増す


090713_05.jpg
アップルケーキにクッキー。
食べながら見て回るのもまた一興

ところでペルーで目にするコカ茶やコカキャンディーだが、お土産に、などとは絶対に考えないでいただきたい。この国では合法でも、他国では没収どころか罪に問われるケースもあるからだ(注・当然ながら日本でもコカの葉は麻薬原料に指定されており、所持や持ち込み、栽培等、厳しく規制されています)。日本で仕事やイベントの成功祈願をする時も、パチャママ以外にお願いすべし。彼女はペルー国内の願い事で忙しいから、なかなか地球の反対側まで手が回らないだろう。