インドにはヒンドゥー教にまつわるお祭りごとがたくさんあります。
中でも3大祭りのひとつである「ダシャラ祭り」は9月、10月の新月の頃に行われて何と10日間も続くのです。インドの古代叙事詩にのっとった「ラーマーヤナ」のお話がベースとなっていて、手っ取り早くいうと悪い事をしてはいけないですよ。最後は善が勝つのだから。という教訓物語で、インド人の誰もが知っている紀元2世紀からあるとても有名な叙事詩です。
各街や村では期間中にラーマーヤナの劇が行われていて、しかも祭りの10日間は「菜食」で肉も魚も食べてはいけないのです。又嗜好品であるタバコとアルコールも御法度となってしまいます。ピュアな菜食にきりかえて、中には果物を少し食べてあとは断食する人もいます。卵も食べてはいけないため、駐在している外国人は気をつけないと新鮮な卵が入手出来ないため、古い卵を買わされるとか。そしてその間のレストランはバターチキンなど注文もできないから、祭り用の菜食メニューになってしまいます。中には売り上げが落ちるので、その時期を休暇にしてしまったり店内のリフォームをするレストランもあったりします。
ヒンドゥーの世界は色々な神が進化してしまうので、しっかり頭に入れないと難しいです。ダシャラタというインドのコーサラ国の王様の3人の王妃のうちはじめの王妃の息子が勇敢なラーマで、最終的には国王になります。とにかく力持ち!ヴィシュヌ神の亜7番目の化身です。
王位継承の争いでラーマ王子が妻のシータと孫悟空の原型であるサルの神様、ハヌマーンや双子の弟のひとりである、ラクシュマナと14年間にもわたって冒険の旅をしています。今のスリランカで悪党ラヴァナを倒します。その弟クンバルナに息子のインドラジットの3人の張りぼて像が各地で建てられています。これはラーマ王子の放った火の矢が当たって、炎上します。つまり悪党たちが滅びて行くのです。野外でこのラーマー王子をたたえる劇、「ラムリーラー」というのですが行われますが、クライマックスの矢は放たれて炎上するところは観客が大騒ぎします。毎年、火事にもなり死者が出たりしていますが、この大掛かりな祭りは決してとどまることなく上演されていくのです。
ダシャラの期間は家庭でも線香をたいて、お祈りをするのはもちろんの事ですが、祭り用の食事を作り、小麦粉も使わない特別な薄いパンを焼きます。植木鉢には大麦をまいて祭壇の前に備えて、食べ物も花も供えます。信仰心の強い家ではこの鉢に祭りが終わる頃に苗がびっしりと15センチほど育っています。祭りの最終日、祈りが終わるとガンジス川に流したりデリーだとヤムナ川に流します。