クライマーにはとても便利なアプリ「攀」について、開発者の金丸順司さんに、話をうかがった。
「攀」を作ったきっかけは、私自身がクライミングをするため、よく岩場や課題情報をインターネットで検索するところからですね。
例えば、あるボルダリングの外岩課題について調べた場合、知りたいのは「設定のスタートホールドはどれか」「正しいラインはどこか」「何か限定はあるのか」といった情報ですが、よほど有名な課題でない限り、情報が一カ所にまとまっていることはありません。
ほとんどがブログの記事の一部などで、情報が散らばっており、本当に知りたい情報を見つけ出すのに意外と苦労します。また、ジムでどうしても苦手で登れない課題があった場合でも、他のムーブやホールドの持ち方等がわかれば登れる場合もありますが、これらの情報も同様に容易に見つかりません。
このような情報を文章より数値に重きを置いて登録でき、かつ一カ所に集約できれば、知りたい情報を簡単に探し出し、総合的に参照できるようになります。
そして電波の入らない場所で見れるようにWebサイトではなく、ネットアクセスなしでデバイス上で見ることができればさらに便利です。これらの条件を満たすものとして、スマートフォンアプリ「攀」を作ろうと考えました。
以下に「攀」の簡単な使い方や特長をご紹介します。
このアプリを使うことにより、クライマーのスキルアップやモチベーションアップに貢献できれば幸いです。
アプリを起動すると、まず「お知らせ」が表示されます。
「お知らせ」ではフォロー中のユーザーの更新情報やクライミングに関するニュース、アプリ情報等が配信されます。
※「お知らせ」タブのバッジアイコンの数字は未読の記事数です。
「課題DB」タブでは、他のユーザーが公開した課題を課題名、場所、ユーザーID、課題タイプ、グレード範囲を指定して検索することができます。
検索結果は月次、グレード、タイプ、場所等でグループ表示が可能です。
課題名、場所、ユーザーID、課題タイプ、グレード範囲を指定して検索することができます。検索結果は月次、グレード、タイプ、場所等でグループ表示が可能です。
この例では瑞籬の3級〜初段の課題を検索します。
※グレードは各国のボルダリング、フリーのグレードに自動的に変換されます
例)日本式3級〜初段は米国フリーの5.10c〜5.12d相当になります
検索結果のオプションメニューから、気になる課題をウォッチする「課題ウォッチ」機能、特定のユーザーをフォローする「ユーザーフォロー」機能、課題情報をオフライン(圏外)でも見られるようにする「お気に入り」機能、課題を自分のプロジェクトに追加する機能を選択できます。また、記録に「サムアップ」を送ることができます。
「プロジェクト」では取りかかり中、または完登した自分の課題を管理できます。
課題DB同様に場所、グレード等でグループ分けして表示することができます。サインイン中は保存した課題はすべてサーバーにもバックアップされます。これにより、複数の端末で同じアカウントの課題情報を共有することができます。機種変更時もサインインするだけで、すべての課題データが自動で同期されます。
プロジェクト登録時には課題の傾向、グレーディング、評価等を数値化して保存できます。
課題の画像上に描画するツールはPCのソフトのように、各オブジェクトを自由に配置し、色やサイズ、重なりを自由に変更することができます。また、拡大してもオブジェクトは劣化しません。
課題情報は詳細または画像のみでエクスポートすることができるので、メールに添付したりブログ等に貼付けることができます。
パノラマ撮影機能もありますので、なるべく近いところから全体を撮影することができます。
日記機能もあるので、ちょっとしたメモやトレーニング記録等を書き留めることができます。
アプリは2種類あります。
■金丸順司 経歴
The 3DO Companyで3DO REAL、Oracle CorporationでOracle Media Objects、Liberate TechnologiesでAOL TV等のメディア系システムの開発に携わる。帰国後2004年に株式会社リヌオンを設立。オープンソース系ソフトウエア開発から2007年以降はキャリア系のサービスインフラ開発に携わる。最近ではスマートフォンアプリの開発がメイン。