【駅員はつらいよ】駅限定のバイリンガルでトリリンガルで

久しぶりに駅員さんのおはなしを。

毎度書いていることだが、私が働いていたJR田町駅というのは慶應大学などがある学生街であり、NECの本社などがあるビジネス街であり、高輪まで抜ければ高級住宅街でもある……という駅だった。なので朝夕のラッシュ時の大混雑は言うに及ばず、日中の時間帯も利用客が絶えない。絶えるのは盆暮れくらいのものである。

まあ絶えてしまうとこちらの商売上がったり(笑)なので、お客さんは多ければ多いほどやる気も出るしありがたいのだが、ちょっと身構えてしまうのが外国人のお客さんが来たときである。私は英会話などできないので、なんとかして相手の意図を汲み取った後は、以前も書いているように精一杯の単語英語を駆使してなんとか理解してもらうしか手がない。しかもさすがは大手企業の本社もあるビジネス街、必ず日に数人は来る。にもかかわらずあらかたなんとか納得して帰っていただいているようなので、オレは英会話が出来るのではないか、という勘違いまでするくらいである。“4番線のホーム”というのを私は“Platform N.O. 4”とか言っていたのだが、これたぶん“Track 4”なのではないかといまさらながら思う。どうなんでしょ?

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今回はイメージカットがないので電車の写真を。
3月15日のJR東日本ダイヤ改正で最高速度時速320キロとなる「こまち」。秋田新幹線E6系ですね
まあお客さんにしてみても、怪しい英語を駆使して説明されても困るだろうから、一度、本職の人に「英語を喋れる方っておられますか?」って聞いてみたら、「出札の○○がベラベラ」と言っていたのだが、“出札=みどりの窓口”でカウンターにいる○○さんにいちいち聞きに行くのも来られるのも手間であろうと判断して、以後も私が単語英語でやり取りを続けた次第。それに対してなんのアドバイスもクレームも付けないJR東日本、毎度ながらいい度胸をしていました、はい(笑)。

数え切れない数の外国人の客さんとのやり取りで、忘れられないのがふたつある。
ひとつは10人近い集団でやってきた旅行客で、聞いてみるとこの後、品川から成田空港へ向かいたいことがわかった。ちなみに使っている単語は“today?”とか“from Narita?”とかそんなもん(笑)。ならば成田エクスプレスに誘導だと人数分の乗車券、特急券を自動指定席券売機で買い、「はい並んでください」(ここらへんもう日本語)と整列いただいた上で二枚のきっぷを渡し、改札まで案内して「2枚いっぺんにインサートね」(←本当)と通り方まで教えてお見送り。全員が入場されたら横並びで頭を下げてお礼されたのはいい思い出である。……あら? いま気が付いたが“from Narita?”では“成田から”ではないか(笑)。よく帰れたなあ、あの日のみなさんは。

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2月16日から投入された横浜線の新型車両E233系。AKB48を起用したプロモーションも話題に
もうひとつは、改札内にあるJR東日本のATM「VIEW ALTTE」を案内した後、有人改札を抜けようとしたら、なにやらトラブルとなっていた。どうやらSuicaで前回利用時の出場記録が無く、そのためいま入場できないことを説明しているのだが、これはなかなか複雑である。要点としては、
・前回利用時、駅を出る際にちゃんとSuicaが当たってなかったりで出場したことになっていない
・そのため徴収されていない料金をいま払っていただく。そうしたらいま入場できる
この説明だけでも面倒ながら、本職さんが確認したところSuicaの残額が足りていない。だから現金を出してください、そこまで説明をしなければいけないのであった。
フランス人に(笑)。
明らかに持て余していた本職さん(他にやることもいっぱいあるし)から、引き取って、必死に筆談と単語英語でやり取りし、1時間弱でにこやかに(これ重要)完了。「昨日、鎌倉から乗ってどこで降りましたか? から始めなきゃならなかったからなあ。ありがとう」と珍しく感謝されたのを覚えている。

外国人の方に限っては怒られたりしたことはなかったな……と思いつつ、ひとつだけ手が出なかったのを最後に思い出した。地図で示してくれたので東京タワーに行きたいのはわかったが、単語英語もなにも通じなかったスペイン語の人。あのときは手を引いて交番に案内しちゃってごめんなさい(笑)。お巡りさんも困っていましたがね。