あっちで国王、こっちで国王

問:英国の国王は、誰でしょうか?
立憲君主制がとか、日本で言うとどなたであるとか……なんて説明をしていると紙幅が(それ以上に言葉が)足らなくなるので省略。素直に受け取ってください。
さっそくの答えは「女王エリザベス2世」。かの有名なエリザベス女王ですね。
では、
問:カナダの国王は誰でしょうか?
誰ですかね。
問:ジャマイカの国王は誰でしょうか?
誰ですか。
問:バハマの国王は誰でしょうか?
……?

はい、上の3カ国の国王、すべて同じ人物、「女王エリザベス2世」です。もちろん英国女王と同じエリザベス女王だ。

bahama_01.jpg
バハマの1ドル札の肖像は国王です。
あれ? この人どこかで……??

英国はかつては植民地だった15カ国(現在)と「英連邦王国」を組織しており、英国を含む加盟国の国王はすべてエリザベス女王である。 ただ、加盟国は“君臨すれども統治せず”の下にある人的同君連合(「たまたま同じ人が国王というだけ」と解釈する)であり、すべての国で首相など政治の長たる人間が存在し、政治をはじめとする自治は各国で独立している。戦争などの対応が英国と異なることがあったとしてもそれはそれであり、どちらも同じエリザベス女王の下に、となる場合も多々ある。また、どこの国の地位が上か、などの差も存在しない。

なお、英国を除く15カ国には女王不在時の代理として「総督」が置かれている。そんなに頻繁に女王がやってくるわけではないので、事実上の国家元首の地位と言ってもいいだろう。たとえばカナダだと、今年2月のバンクーバー・オリンピックで開会宣言をしたミカエル・ジャンさんが総督である。

最後に英国連邦加盟の16カ国を。あまりなじみのない国もありますね(アルファベット順)。
アンディグア・バーブーダ、オーストラリア、バハマ、バルバドス、ベリーズ、カナダ、グレナダ、ジャマイカ、ニュージーランド、パプアニューギニア、セントクリストファー・ネイビス、セントルシア、セントビンセント・グレナディーン、ソロモン諸島、ツバル、英国

※「英連邦王国」は、同じ国王=エリザベス女王を国王に戴く国の連合体であり、独自の国家元首を戴く国も含む「イギリス連邦」(54カ国)も存在する。この話はまた機会があれば。