1889年、国鉄東海道線が新橋〜神戸が全面開通。そして当時建設中だった日本鉄道(私鉄)の上野〜青森。この新橋と上野を結ぶため計画された路線内に「中央停車場」を建設することを帝国議会が決めたのが1896年。そして1914年に完成した「中央停車場」が、現在の東京駅だ。そう、創建当時から、東京駅は日本近代鉄道の中央、中心に位置する駅なのである。
夜の東京駅
ではここで問題。この東京駅、駅を統べる駅長さんはいったい何名いるでしょうか?
まあ、わざわざ問題にする時点で1名ではない。だからといってもちろん、実は駅長職は1駅に複数名いる、とかでもない。駅長は1駅1名である。さて……?
まずは答えから。正解は3名。つまり東京駅は3駅あるわけだ。ん、意味がわからない? まず東京地下鉄(東京メトロ)の東京駅に東京地下鉄の駅長さんが1名。そして東日本旅客鉄道(JR東日本)の駅長さんが1名。そして東海旅客鉄道(JR東海)の駅長さんが1名である。
ポイントはもちろんJR。1987年3月までは国鉄の東京駅ひとつだったのが、同年4月からの民営化で東北〜関東近郊を所管するJR東日本と、中部地方を所管するJR東海、ふたつの東京駅となったのである。
JR東日本=東京駅はわかるけど、なぜ中部地方のJR東海?
そう、日本の大動脈、東海道新幹線を運営しているのはJR東海(新大阪以西の山陽新幹線はJR西日本)なので、東海道新幹線の東京駅はJR東海の所管、つまりJR東海の駅長さんがいるわけである(JRの文字がオレンジのところは東海のエリア。東日本は緑)。
というわけなので、東海道新幹線の品川〜新横浜〜小田原〜熱海の各駅にも、JRでふたりの駅長さんが存在する。
ちなみに。同じJRだからといって、JR東日本の駅(エリア)では東海道・山陽新幹線の細かい遅延情報などは入りづらく、JR東海・西日本系のチケット発券サービスなども受けられない。私はとてもとてもとてもとても短い期間、JR東日本で禄をはませていただいた経験があるのだが、お客さんにはそれはなかなか伝わりづらかったのを覚えている。たしかに“別会社”ではあるのだが、ねえ。