プロ野球ドラフト会議――今は無き近鉄球団に残るこんなはなし

本年の日本プロ野球(NPB)、パシフィック・リーグ(パ・リーグ)は福岡ソフトバンクホークスがブッちぎりで優勝。方やセントラル・リーグ(セ・リーグ)は逃げる東京ヤクルトスワローズを中日ドラゴンズが大逆転し、球団史上初のリーグ連覇を達成した。今月29日から始まる日本シリーズ出場を懸けたクライマックスシリーズ、そして日本シリーズと、まだまだ目を離すわけにいかないが、まずは来週27日に各球団“未来”への大一番がある。「新人選手選択会議」、そう『プロ野球ドラフト会議』である。

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まもなくドラフト会議。
写真は高校生のみ対象のドラフトが行なわれていた06年
セ・パ12球団が高校生と大学生、社会人野球選手などを中心とした新戦力獲得の場となるドラフト会議。過去さまざまな変遷の末、現在の指名方法は、

・1巡目(過去の「ドラフト1位」)を全球団指名の上、候補が重複した場合は抽選。外れた球団は再び1巡目指名を行ない、それでも重複した場合は抽選……と、全球団の1巡目指名が確定するまで繰り返す。

・2巡目は、オールスターゲームの結果によって得られた優先権を持つリーグ(今年はパ。以下同じ)の最下位球団、セの最下位球団、パの5位球団……の順番で指名を行なう。この際、選手を指名した時点で選択確定となるので、先に指名順が来るほう=下位球団が有利となる(これを「ウェーバー方式」という)。

・3巡目は、2巡目とは逆にセの1位球団、パの1位球団、セの2位球団……の順番となる(「逆ウェーバー方式」)。

・4巡目以降はウェーバー、逆ウェーバーを繰り返し、全球団が指名を終了する、もしくは合計120人(海外リーグや日本の独立リーグに所属する選手を指名した場合を除く)が指名された時点で終了となる。

一時期は希望する入団にストレートに入れる制度もあったが、多くの球団が1巡目に指名するような有力選手はくじ引きに翻弄されるドラフト会議。当の本人は気が気でないだろうが、他人様からしたらだからこそおもしろく、悲喜こもごものドラマがある。

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本年度のドラフト会議ポスター。
なかなか深いコピーですね。※画像参照・日本野球機構
ドラフト会議で最多の1巡目指名は、野茂英雄(89年)、そして小池秀郎(90年)の8球団。野茂は近鉄(当時)へ、小池はロッテの指名を拒否したものの、93年のドラフトで近鉄に入団。野茂の日米を股に掛けた活躍はごぞんじの通りだが、小池も97年に最多勝のタイトルがあり、「近鉄に貢献したヒデオ投手」という共通点があった。
そして近鉄の投手繋がりでは、87年のドラフト1巡目・阿波野秀幸にもドラフトの興味深いウンチクがある。阿波野はドラフト1巡目で近鉄、横浜大洋(当時)、読売が競合し、抽選で近鉄に入団。その後、95年に読売、98年に横浜へトレードとなり、ドラフト指名された3球団すべてに入団を果たした。しかも、すべての球団でリーグ優勝を経験している。3球団からの日本シリーズ出場は最多タイ(阿波野を含めて6人)であり、さらにすべての球団で1巡目指名されていたともなると、これは空前絶後の経歴であるのは間違いない。