代官山セレスの館in羅針――桜並木の祝福

重っ苦しい話でもなんでもないのだが、人は時として「神様仏様がいるのではないか」とか「これはなにかの導きではないのか」と思わずにいられなくなる瞬間がある。「寝坊して乗れなかった飛行機が……」なんて大袈裟な話でなくとも、「発売締め切りに間に合わなかったおかげで馬券がハズレずにすんだ」とか、それは案外無数に転がっている。まあ、馬券の場合は間に合わないとたいてい当たってくれちゃうのだが(笑)。


「こちら過去の恋愛に関する部分ですが……………………あー………………ずいぶんツライ思いをされましたねえ、今の方のそれ以前に……」
椅子から滑り落ちる筆者。「昨年の3月31日の夜でした(泣)」(←誰も聞いていない)。
「それでまたずいぶん引きずってらっしゃいますねえ……まあ、それでもその方に負けないで自分も幸せになろうとされているカードも出ていますしね。で、現在ですが……」
ど、どうなんですかっ。
「まず周りの方がご本人様を差し置いてワイワイいろいろなことを言っておられるようですね……」
椅子から転げ落ちる筆者。「すみません、観奈さんはどこかで私と酒飲んでたりしていませんかっ」
……
……私はおそらくここに導かれてやって来たのだろう。ここは『代官山セレスの館in羅針』。目の前にはこちらの占いカウンセラーである観奈さんが座っている。


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『代官山セレスの館in羅針』は、約1年前の登場後、瞬く間に人気店となった『RISOTTO CURRY STANDARD』の隣、『羅針』というバーの中で月、水、金の11時から18時、水曜日は夜も鑑定を行なっている。間借り、ってことですね?
「そうなりますね。実はこの『羅針』は“日替わり店長”という変わったシステムでして、水中カメラマンのオーナーさんがそんなアイデアを出して営業しているんです。で、昼間の有効利用を考えていたら、誰かが『占いは?』って言ったことから、いろいろな占い師さんや占い学校に連絡をしてみたそうなんです。そうしたら私どもの先生である“代官山の母”セレス玲奈先生のところに行き着き、いちばんお話しを聞いてくれたとのことで実現したんです。では誰を派遣するか……というところで、セレス学院で勉強をしていた私に声が掛かりまして。これまでも各地にある『セレスの館』の占いコーナーで、代打的には観させていただいていましたが、『私が』というのは初めてでしたね」

昨年の7月から始まった観奈さんの鑑定。桜丘の街にもすっかり馴染んでいるようで……。
「それまでは桜丘には縁がありませんでした。私、どうしても渋谷は苦手なイメージがあって、北海道出身というのもあるのか、センター街のほうとかはちょっと(笑)。それが道路を挟んだらこんなに静かなところがあって、あとやっぱり桜が……。日本の神様はやはり桜とともにあるとされていて、今年の4月に満開になったときには感動しました。そんな桜並木の下で活動ができるというのは、来るべくして来たのかなあ……と感じています」
日本風に言えばそんな“霊験あらたか”な場所で行なわれる鑑定。廃業しようと考えていたジュエリー関係の女性社長が相談後、従業員を大増員しないと間に合わないほどの大復活を遂げたときは「一緒に泣いてしまいました」とのことである。


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「私がこの道に入ったのは、こんな経験があったからです。私が4歳か5歳だったころ、母親が大病……ガンになったのですね。母は看護士さんでしたから、細胞の病理検査の後に自分でカルテを見に行ったら『ステージ5(いわゆる末期ガンとされる)』だった、と。病理検査をしてのステージ5ですから、これにはなんの間違いもありません。私も看護士の娘ですから、死んじゃう病気だとはわかっていますが、なにかできないかと思い、毎日毎日、真っ暗な部屋で神様にお願いをしたんです。一日も欠かすことなく。そうしましたら……何も、なくなっていたんですね、ガン細胞が(ニッコリ)。ステージ5のガンがすっかり消えてしまった。起こるんですね、そんなことが……。私はまだまだ幼かったですが、この恩は返さないといけない、今度は誰かの救いにならなければいけない、そう思いました。それには手術をするお医者さんを始めいろいろな職業があったと思いますが、それでもこの職を選んだのは、神様にお祈りをして、母が治って、その恩を返すと考えたとき、私には占いがいちばん性に合っていると思ったからです。やるとなったら覚悟を決めて、生活に不安がないと言ったらウソになりますが、他の仕事も辞めて占い一本、また人様を鑑定するということにも大きな覚悟が必要ですからね。母ですか? はい、いまも元気です(ニッコリ)」
凛として、そして柔らかな笑顔を交えて話す観奈さん。そこまでの経験をし、覚悟を持って占いの道に入った方が、神様がいるという桜丘の桜並木の下にいる。これはもう必然だったのではないですか……?
「そうですね。これもまた神様の導きなのでしょう。私がここにいるのも、多くのみなさんに来ていただいたのも、今日いまお話ししているのも(ニッコリ)」

桜丘が誇る桜並木の下。そこにはたしかに導かれし神の祝福があった。
やって来た笑顔眩しき占い師、そして訪ねた人。導かれたすべての人に光が降り注ぐことを。
そして。
私にも(笑)。

Q・あなたにとって桜丘とは?

「やはり桜、そして桜の下。ここに導かれて来たのだと思います。感謝ですね」

 


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こちらは観奈さんのお師匠さんであるセレス玲奈さんの『自分のことが一生占える本 』。羅針でもお買い求めいただけますよ


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【今回の桜な人々】
代官山セレスの館in羅針
観奈
さん

〒150-0031
渋谷区桜丘町16-8
桜丘ビルB1F
 
マップ

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http://www.ceresnoyakata.com//