本格ミステリー作家の第一人者である島田荘司原作の初の映画化となる『幻肢』が9月27日(土)より公開。その公開初日に、都内・新宿区の新宿K’s cinemaにて、初日舞台挨拶が行われ、主演の吉木遼、ヒロイン役の谷村美月ほか、遠藤雄弥、佐野史郎、藤井道人監督、そして原作者・島田荘司が登場した。
MC:まずは、ご挨拶をお願いします。
吉木:まさか、こんなにたくさんのお客さんとは思っていませんでした。初主演の映画を観ていただくことは、嬉しい気持ちでいっぱいです。
谷村:これからご覧になるお客さんには(この作品を)楽しんでいただければと思います。
遠藤:土曜日にもかかわらず、新宿K’s cinemaお越しいただき、ありがとうございます。感無量です。
佐野:医者の役はいろいろと演じてきましたが、脳科学という分野は難しい世界でした。しかし、脳科学は好きな世界でもあったので、この難しい世界を理解して伝えられるようにと、苦しみながらも楽しく演じることができました。
藤井監督:この場所に立てることが幸せです。今日はよろしくお願いします。
島田:若者を主人公にした、なにか面白い作品を急いで書いてくれとお願いされ「どれくらい?」と伺ったところ10日ほどでと……(会場笑)。後日、いろいろとお話させていただく中から、この作品が誕生しました。
MC:吉木さん、本作が長編映画初出演にして主演ということですが、今回のこの難しい役どころには、どういった気持ちで臨みましたか?
吉木:初めてだったので、すべてのことが新鮮で勉強になることばかりでした。撮影中の一瞬、一瞬がすべて今後の自分の俳優人生の糧になるものになったと。このことを生かして次に進もうと思っています。
MC:実際に作品をご覧になっていかがでしたか?
吉木:1回目は緊張してあまり観ることができなかったです。自分の写ってないところばかり観ていました(会場笑)。2回目でようやくストーリーを把握して、3回目でやっと自分の写っているところを観ることができました。
MC:谷村さん、この脚本を読まれた時の感想はいかがでしたか?
谷村:セリフの中で詩的なセリフがあって、自分の中で「こう言いたいな」って気持ちがどんどんと膨らんでいきました。新鮮でした。
MC:実際、演じられていかがでしたか?
谷村:監督の現場は、楽しかったです。映画は楽しいなって再認識できる現場でした。
MC:遠藤さんは、藤井監督とは同じ歳で意気投合されたと伺っていますが……。
遠藤:青春時代に観ているものや感じていることが同じだったので、話しやすかったですし、亀井を演じるにあたって「メガネをかけたら?」など監督と気兼ねなくディスカッションができました。後は、呑み屋でいろいろとアニメや映画の話を。全幅の信頼をおいて、藤井組に参加できて良かったなと思っています。
MC:監督は、現場でもこんな感じなんですか?
遠藤:ほんとに謙虚なんですよ(会場笑)。
藤井監督:でも、吉木くんはいっぱい言いたいことがあると思います。ねっ!(会場笑)
吉木:それは後で……(笑)。
MC:佐野さんは、いろいろな大学教授を演じられてこられたとのことですが、冒頭のシーンでの長ゼリフには、みなさん引き込まれたことと思います……。
佐野:台本をいただいて「これはワンカットでやらないと意味がないな」と、自分から監督に進言したんですが、テストで10分ほどのシーンになってしまって、これは長いと(笑)。自分が理解しないと伝わらないことはわかっていたので大変でした。でも、ハードルが高いと燃えますね。
MC:藤井監督、今回は脚本から、島田先生と一緒に作られたということですが、いかがでしたか?
藤井監督:こんなにありがたいお話はないと、即、やらせてくださいとお願いしました。先生との脚本作りの中で、ぼくがメモをとると、3回くらいでノートがなくなるといった感じで、それを調べ直して、考えてと、大変な作業でしたが、楽しかったです。勉強になりました。先生と吉祥寺の街を何度も散歩して、一緒にロケハンさせていただけたことは光栄なことでした。
MC:島田先生、小説を作るときとは、まったく違った作業だったかと思いますが、いかがでしたか?
島田:藤井監督のような若い人とお仕事をすることは、大変だったのでは?とよく聞かれますけど、そういったことはまったくありませんでした。藤井監督は刺激的な言葉(セリフ)も多く、勉強させていだだきました。「じゃ〜ん! リンゴ!」なんて、60歳過ぎたら書けない(会場笑)。あ〜、そういう風に言うんだって。冒頭のシーンの長ゼリフは、書きながら無理だろうなと。でも、映像になってみるとまったく自然で、これは佐野さんの力だなと感じました。この教授役は佐野さんでなければ務まらなかったと思います。佐野さん、今度吉祥寺でビールでも飲みましょう(会場笑)。
佐野:ぜひ!!
MC:島田先生の作品が映画化されるのは今回が初ということですが、作品をご覧になっていかがですか?
島田:最後まで観終わって、思わず立ち上がって、ひとりで拍手していました(笑)。監督に「良い作品が出来上がりましたね。ありがとうございました」と。
MC:最後にひとことメッセージをお願いします。
吉木:本日は、初主演作品を観ていただきありがとうございました。
谷村:何度も観にきていただきたい作品です。ツイッターなどで「観たよ」ってつぶやいてください。
遠藤:ラブストーリーにはいろいろな種類のラブがあると思いますが、唯一無二な『幻肢』にしかないラブがあると思います。そのことをいろいろな方に伝えていただきたいと思っています。
佐野:タイトルは『幻肢』。幻がキーワードだと思います。映画そのものも、なにもないスクリーンに映し出される幻。末永くこの作品を愛していただければ嬉しいです。
島田:会場の中にはミステリー作家志望の方もいらっしゃるかと思います。この映画を観て、自分のアイデアを温めたり、考えたりしていただければ……。この映画には、そのヒントがあると思っています。
藤井監督:この映画で島田先生にお会いできて、素晴らしいキャスト、スタッフに囲まれ、この場所に立てるという喜びをしっかりかみしめて、これからもっと勉強してがんばって行こうと思います。この映画を愛していただければと、今日はありがとうございました。
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出演:吉木 遼 谷村美月 宮川一朗太 遠藤雄弥 佐野史郎
監督・脚本:藤井道人
原作:島田荘司「幻肢」(文藝春秋刊)
主題歌:「それでも生きなくちゃ」さめざめ(ビクターエンタテインメント)
配給:ディーライツ
公式HP:www.genshi-movie.com
公開:9月27日(土)より、新宿K’s cinemaほか全国順次ロードショー
©2014映画「幻肢」製作委員会