公開日が6月27日(金)に緊急繰上げされた『告白』の中島哲也監督最新作『渇き。』。その完成披露試写会が、去る6月9日(月)に都内港区のTOHOシネマズ六本木ヒルズにて行なわれ、主演の役所広司をはじめ、小松菜奈、清水尋也、橋本愛、國村隼、オダギリジョー、中谷美紀、中島哲也監督が登壇した。
登壇者のそばには、役所は「狂犬」、小松は「天使?」、清水は「傀儡」、橋本は「鬼怒」、國村は「悪徳」、オダギリは「畜生」、中谷は「偽善」と、本作でそれぞれが演じた役柄を二文字で表したパネルが用意された。
「ロクデナシの親父」という破天荒な役を演じた役所は「まさに狂犬という役柄で、撮影の前にこの言葉をいただいていたらもっと良い芝居ができたかもしれない(笑)。こういう役柄は初めてで、たくさんのことにチャレンジしました。とんでもなくダメなやつだけど、気持ちよくできた」と撮影を楽しんだ様子。
『パコと魔法の絵本』以来のタッグとなる中島監督との仕事については「いつも強烈な個性のある役をいただけるので楽しみです。撮影は長いけれど、芝居を丁寧に撮ってくれるので、役者にとってはとても得な監督」と振り返る。
本作でスクリーンデビューを果たす小松は自身の役柄について「天使か悪魔かと聞かれれば、悪魔かもしれない。でも天使な部分もあって……人を惹きつける不思議な魅力のある子」と分析。厳しいことで有名な中島監督については「私が緊張しないようにすごく気を使っていただいて。優しいくまさんみたいな方です!」と印象を語るも、初めての舞台挨拶に緊張し「怖かった」と本音も。
『嫌われ松子の一生』など中島作品の常連である中谷は「雪原のロケでは手袋もしないまま役所さんとふたりで放り出されて……」と恨み節、かと思いきや「ロケハンの段階でどれだけ寒いかをわかっていらっしゃって、1?2テイクでOKを出してくれました」と、監督の優しい一面を披露。監督は「雪の上は一度動くと崩れてリテイクが効かないからね。しぶしぶOKしたんだよ(笑)」と冗談交じりに照れ隠し。
オダギリは「ピリピリしているようで、皆がきちんと監督を見ている、良い現場だなと思いました」とコメント。
『告白』で注目を集めた橋本が「4〜5年ぶりの監督の現場でしたが、役者をいちばん大事にしてくれるところが変わっていなくて。また参加できて嬉しい」と語ると、中島監督は「(嬉しくて)泣きそうです」と。
『パコと魔法の絵本』の際にオカマの役を演じ、今回は悪徳医師を演じた國村は「キャラクターが皆クレイジーだったり、変態だったり。僕もすごい変態の役だけど、中島監督の作品では初めてやる役柄が多い」とのこと。中島監督は演出について「細かく指示するタイプじゃない。役所さん、小松さん、清水くんは物語の中心だから比較的リハを重ねたけれど、他の方に関しては『変ならOK。できるだけやりすぎなくらいで』という感じで自由にやってもらった。他の作品では見られないような顔が撮れていると思いますよ」手ごたえを感じている様子。
イベントが行われた6月9日に15歳の誕生日を迎えたボク役の清水だが、本作は実はR15指定。「やっとこの作品が見られる年齢になりました。友達には年齢的にも内容的にも薦めにくいのですが、ぜひ見てほしいんです。『覚悟を決めて見て!』と伝えます」とコメント。
監督は「役所さん始め、素晴らしい俳優たちが集まってくれて、こんな大きな会場で皆さんに見ていただけることが信じられない。目を伏せたくなるシーンはそうしていただいて、なるべく途中で出ていかないでほしいです(笑)。最後まで観ていただければ人間ドラマとして伝わるものがあるはずです」と。
最後に役所は「今の日本映画界ではなかなか企画が通りにくいような内容ですが、だからこそ情熱を注いだ作品です。たくさんの方に広めてほしいと思っています」と語った。
■ストーリー
元刑事のロクデナシ親父・藤島(役所広司)に離婚した元妻から連絡が入った。成績優秀なうえ、容姿端麗、学園のカリスマでもある女子高生の娘・加奈子(小松菜奈)が失踪したという。自分のせいですべてを失った男が、再び“家族”を取り戻すべく、姿を消した娘の行方を追うことに。娘の交友関係をたどって行く先々で、語られる「知らない加奈子像」に戸惑う藤島。想像を超えて肥大し、踏み入れるほどに見失う娘の正体。やがて藤島の激情は、果てしない暴走をはじめる――。
出演:役所広司 小松菜奈
妻夫木聡 清水尋也 二階堂ふみ 橋本愛 / 國村隼 / 黒沢あすか 青木崇高 オダギリジョー/中谷美紀
監督:中島哲也
脚本:中島哲也 門間宣裕 唯野未歩子
原作:深町秋生 「果てしなき渇き」(宝島社刊)
企画・製作:ギャガ リクリ
製作プロダクション:リクリ
配給:ギャガ
公式HP:kawaki.gaga.ne.jp
公開:6月27日(金)TOHOシネマズ 六本木ヒルズほか全国ロードショー
©2014「渇き。」製作委員会