『晴れのひ雨のひ やさいのおかず展』〜いままでつくったもの、これからかたちにしたいこと〜ブログ掲載から冊子作成までの思い……

nohinohi001.jpg中目黒の裏通りにあるちいさな飲み食い処『のひのひ』。そのお店で出している、季節ごとのやさいのおかずを少しずつ撮りため、ブログに上げはじめてから一年。ひとつかたちにしたいという思いから、今回の展示『晴れのひ雨のひ やさいのおかず展』が企画された。そのオープニングパーティ当日に料理のやまさききよえさんをはじめ、プロデュース&スタイリングの川崎万里さん、カメラの中村うららさん、編集の川瀬佐千子さん、アートディレクション・デザインの高橋敦さん、奥田桜子さんに、撮影からブログ掲載までのエピソードや今回の冊子作成までの話を聞いた。

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左から、やまさききよえさん、川崎万里さん、中村うららさん

■料理/やまさききよえさん

お店に足を運んでくださっていた川崎さんからメニューについて「簡単で作りやすそうで美味しい!」って気に入っていただき、本にしたいねって話でもりあがっていました。でも、いきなり本というのはハードルが高く、まずはブログから始めようということになり、川崎さんと私の周りの仲間にボランティアというかたちで力を貸していただいて制作が始まりました。
オールアバウトさんの協力もいただいて、ブログと平行してほぼ毎週掲載しています。材料は一品または二品で、いろいろと買いそろえなくても作れるやさいの料理ということをテーマに、もっと料理が身近なものになればという思いでメニューを考えています。
私がざっと盛りつけた料理をスタイリングの川崎さんが“魔法のひと箸”で直すと、こんなにも綺麗になるんだって……。今回の撮影では、とても勉強になりしたね。
ふつうはブログではここまでやりませんけど、最終的には本にしたいということもあって、写真もスタイリングも意識して丁寧に取り組みました。そのまま、すぐ本になる感じです。毎回、朝から夕方までスタッフ全員で時間をかけ、きっちりと撮影しています。自然光で撮影をするって決めていますので冬は日が短かくて焦りましたね(笑)。
この展示を観ていただいて、それが出版につながればいいなと思っています。
 ●プロフィール/グラフィックデザインの世界から食の世界へ飛び込み、いくつかの飲食店で料理を学ぶ。2009年に中目黒の裏通りにて飲み食い処『のひのひ』をオープン。お店のかたわら、雑誌や広告でレシピ制作やフードコーディネートも行う。好きなメニューは『トマトとかぶの柚子こしょう和え』。

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■プロデュース&スタイリング/川崎万里さん

お店のメニューとか、とかくコテコテになっちゃいますけど、やまさきさんの料理はシンプル。だけど、ちゃんとだしを引いていて、味がしっかりとしています。最終的に本にしたいということで、スタイリングもこだわって始めました。コスト面の問題もあり、やまさきさんと私の手持ちのお皿などでコーディネートしましたから、そこは結構苦労しましたね。また、撮影も引きで撮っておいて、タテでもヨコでも使えるといった感じにではなく、タテとヨコにそれぞれのパターンで対応できるよう別々に撮影しています。かなり真剣に取り組んでいます。
材料が二品以内の本って、あまりないでしょうね。やまさきさんのものすごくいさぎよい料理は、良い本になりますよ。
●プロフィール/フードスタイリストとして、雑誌や広告で食のシーンのスタイリングをてがけるかたわら、レシピ開発や飲食店のプロデュースも行う。中目黒『箱庭』店主。好きなメニューは『鶏肉とさつまいものハニーマスタード』。
http://marikawasaki.jp/

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■写真/中村うららさん

写真を始めてまだまだの私に川崎さんから声をかけていただいて、最初の撮影はとても緊張しました。無我夢中で撮影をしてきましたけど、だんだんと自分でコントロールできるようになり、スタッフみんなに助けられてここまでできたんだなって感謝しています。素材の写真撮りはとても苦労しましたね。本の中では扱いは小さいですけど……。まず、モデルになる“いい子ちゃん”を選ぶところから始まって、同じパターンにならないようにバランス等、考えながら撮影しました。思った向きにならなかったり、いい角度の面にキズがあったりと大変でした。
私は空気感が伝わってくる写真が好きなので、やまさきさんの食べ物に優しい気持ちが伝わるように心がけて撮影してきました。この1年間の撮影で、たくさんのことを学び成長させていただきました。ほんとうにありがとうございます。
●プロフィール/写真家・福岡拓氏の料理写真講座をきっかけに写真家を志し、福岡拓氏に師事。2012年に独立し、料理写真を中心に雑誌やウェブなどで活動中。好きなメニューは『ゴーヤのチーズフライ』。
http://urarara.com/

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左から、川瀬佐千子さん、高橋敦さん、奥田桜子さん

■編集/川瀬佐千子さん

眺めるだけではなくて作っていただかないと意味がないよねって。ここに貼ってある(上写真)、擬音語や擬態語がやまさきさんの魅力のひとつになっています。最初はさじ加減がわからないところもありましたけど、今はもうサクサクと文章がでてきますね!
撮影が終わってから作った料理をみんなでいただくことが楽しみです。夕食がいらないくらいのボリュームですね。今まで撮影したメニューは自宅でも作ったりするんですよ。オールアバウトさんで人気ランキング1位を獲ったレシピの『白菜と豚バラ肉のごま油鍋』は、冬の間に何度も作って食べました。簡単なのに美味しい! 下ごしらえが少々ありますけど、それをちょっとするだけで違うんですよ。『きゅうりのからし漬け』も粉からしをきゅうりに塗ってラップして置くだけなんですけど、これがキリリと美味しいんです。ナイスなおつまみです。『ゴーヤのチーズフライ』は、ゴーヤの真ん中を抜いてチーズを詰めて揚げるだけなんですけど、人気メニューですね。どれも、パッと思いついてできるメニューです。
仕事として充分成立することをみんなが部活のように楽しくやっていることが、いいんだろうなって思っています。
●プロフィール/出版社、広告制作会社を経て、フリーランスに。雑誌や広告で、編集、ディレクション、ライティングをてがける。人と旅にまつわるモノ、コトを多く担当。好きなメニューは『白菜と豚バラ肉のごま油鍋』。

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■アートディレクション/高橋敦さん・奥田桜子さん(ロングスケールデザイン)

高橋敦さん:やまさきさんとは古くからの友人で、今回はふだん一緒に遊んでる延長線のような感じでやってます。お店の雰囲気や料理からわかるように、暗黙の了解みたいなもので、みんなコテコテにはしたくなかった。できるかぎりシンプルに作りました。素材の写真も含めて、丁寧に撮影してあるので、こちらとしてはデザインがしやすいですね。展示のように大きくプリントしても負けない写真。私が意識して中村さんにお願いしていることは空間を作ってもらうことです。以外と本って空間を埋めてしまうデザインになりがちなので、ヌケ感というものが写真にもレイアウトにもあった方が良い。WEBのほうではタテにスクロールするので、トリミングが同じ感じにならないようにとか、同系色にならないようになど注意しながら作成しています。
奥田桜子さん:タイトルとメニューの手書きの文字はやまさきさんのものです。いつもお店のメニューを黒板に書かれていて、常連さんには見慣れた文字ですね。その書体が大好きなので、毎回メニュー名を書いてもらっています。冊子のデザインは、料理がシンプルなので、素朴な感じにしています。極力余計なことをしないように抑えることに苦労しました。今回はページ数が少ないこともあって、紙は安っぽい感じにならないように重い紙を選びました。
高橋敦さん:手触りの良い素敵な紙というところもポイントだったよね。もともとやまさきさんはデザイナー出身なのでデザインに対する意識が高いですね。
●プロフィール/企業やブランドのロゴやシンボルマークデザインを多くてがける高橋敦と、雑誌や広告のエディトリアルデザインを中心にてがける奥田桜子によるデザイン事務所・ロングスケールデザイン。好きなメニューは『あさりのパクチー蒸し』『かぶのたらこあん』。
http://longscale.jp/

nohinohi007.jpgnohinohi008@.jpg晴れのひ雨のひ やさいのおかず展
〜いままでつくったもの、これからかたちにしたいこと〜
日時:8月18日(土)〜9月1日(土)
会場:のひのひ
153-0051
目黒区上目黒3-16-4 長岡ビル3F
Tel+Fax 03-6412-8680
営業時間17:00〜24:00
日曜休み 祭日不定休み
http://nohinohi.exblog.jp/