行方不明になった子供が、数ヶ月後、別の子供になって帰ってきたというショッキングな実話をもとに描かれた『チェンジリング』。ラルフローレンのワンピース、スチュワート・ワイツマンの靴、ミキモトのアクセサリーという出で立ちで現れた主演のアンジェリーナ・ジョリーが、作品への思いを語りました。
Q:日本はいかがですか?
アンジー:家族でキディランド(夫のブラピが『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』記者会見で記者に教えてもらった)や公園にも行ったし、今は夫が子供の面倒を見ているはずよ。
Q:アカデミー賞主演女優賞へのノミネートで、子供たちと何か話されましたか?
アンジー:成功してもしなくても、映画作りは本当に好きよ。でも子供たちには映画の話はあまりしていないの。彼らはきっと『カンフーパンダ』にしか私が携わっていないと思ってるわ(笑)。
Q:撮影前にもどんな準備をされましたか? 監督とはどんな話を?
アンジー:裁判の記録や新聞などの資料をたくさん読んだわ。役どころは、2年前に亡くなった私の母親に似てるの。あ檀は物静かだけど、子供を守るための強さを内に秘めていたわ。夫のブラッドも本作を観て、母親に似てるって言ってくれたの。実は、撮影中は母の写真をいつもバックに忍ばせていたわ。
Q:クリント・イーストウッド監督を「凄いな」と思った瞬間はありますか?
アンジー:彼はスタッフひとりひとりを本当に尊重してくれるの。接し方も優雅で、優しくて、偉大なリーダーでもあるし。だから、「彼のためならいつでも何でもやってあげたい、できるだけ早くやってあげたい」と誰もが思うの。実は、1テイク撮ってすぐ次に進むというやり方にはショックを受けたの。でも、それだからこそ、誰一人として怠惰になれない。しっかりと準備をして臨まなくちゃいけないし、ふざけている時間もないし。何度も同じテイクをやらされるよりは、ある意味とってもやりやすかったわ。それに、彼は何かあるとすぐに即決するの。他の人は大概、誰かに相談するとか、少し時間をくれとか、そうした人が多いけど、彼は違う。最初に彼に「ちょっと話したいことがあるんだけど」と言ったら、「じゃ、今しよう」って。数分の間でその場で解決して、それを笑顔でやってくれるというのが素晴らしいと思ったわ。
Q:衣装がとても素敵でしたが、ローラースケートは大変じゃありませんでしたか?
アンジー:それもそうだし、5センチのヒールはとても大変だったわ。それに、監督はときどき私を押すのよ(笑)! ローラースケートのシーンは何テイクかNGがあったわ。
Q:母親としての視点、社会問題に関心がある一人の人間としての視点から、どのように役を演じられましたか?
アンジー:正義を貫くことが社会のシステムをも変えてしまうということで素晴らしい女性だと思ったわ。あれほど腐敗していた社会が彼女のおかげで変わったし、他の女性たちも救われたんですもの。彼女は私のヒーローよ。私が個人的にいろいろと活動しているのも、彼女のように迫害や暴力と戦っている女性が世界中で活動しているからなのよ。それから…日本に来てから知ったけれど、北朝鮮の拉致問題。本作と同じような境遇に置かれているから、ぜひ被害者の家族の方々ともお会いしたいと思っているの。
Q:観客には、どのようなことを感じて欲しいですか?
アンジー:無力だと思われていたひとりの女性がここまでのことができた、そういう勇気を私たちに与えてくれる物語だと思うわ。
Q:役柄のように、これだけは信じて疑わない何かというものはありますか?
アンジー:いろいろな局面で、自分が正義だと思うものには信念をもって立ち向かっているの。それが国際問題であったり、子供のことであったり、何が公平で何がそうでないか、そういう気持ちはいつも持っているわ。私は8年間、国連の難民高等弁務官の親善大使をしているけれど、迫害されている人々のためには信念を持ってやっているの。日本では緒方貞子さん、彼女は私の中のヒーローのひとりよ。
Q:ジョン・マルコビッチさんとのお仕事はいかがでしか?
アンジー:とっても知的な方よ。監督は長いシーンは嫌いなので、ジョンの長いスピーチのシーンはカットされると思っていたの。でもジョンは「とにかくやらせて」と、その長いスピーチをしたの。そしたら監督が「あのシーンは全部残そう」って。そして「彼ってまるでヘビだね。僕らを催眠術にかけたみたいだ。彼を止めることはできないよ」って。そういう、とっても不思議な魅力を持った方なのよ。そのシーンは映画にそのまま残っているわ。
Q:子役たちの演技はいかがでしたか?
アンジー:彼らもとっても素晴らしい俳優ね。撮影がないときは私の子供と一緒にプレステをやってたわ。また、劇中で子供に怒鳴ったりするシーンがあったけれど、彼に刺激を与えてトラウマにならないよう、あのシーンは彼を現場から出して、何もない空間に向かって怒鳴ったり、お皿を投げつけたりしたの。そうした心がけをしていたわ。
Q:演じる上で苦労された点はありますか?
アンジー:彼女は最初と最後ではまるで違う人間になるし、ときどき強さが出てくるけれど何かがあると挫折する。挫折のあとに倍の成長を遂げたかと思えば、次にもっと大きな挫折がやってくる。そうした波が非常に大きな役どころよね。そんな彼女の精神的な強さと弱さをどう表現するか。それを計算しながら演じるのが苦心した点ね。
監督・製作:クリント・イーストウッド
脚本:J.マイケル・ストラジンスキー
出演:アンジェリーナ・ジョリー、ガトリン・グリフィス、ジョン・マルコビッチ、コルム・フィオール
公開:2月20日(金)、TOHOシネマズ日劇ほか全国ロードショー
公式サイト:www.changeling.jp
配給:東宝東和
ジャンル:洋画
シネマピア映画記事:http://asobist.samplej.net/entame/cinemapia/0135.php
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