沖縄で小さな弁当屋「あじさい弁当」を営む大城陽。陽は、弁当を買いに来る高校生たちがバンドの練習をする場所がないことを知り、弁当屋のガレージをスタジオにすることに。「このスタジオと機材、自由に使っていい。お金はいらない。ただ条件がある。挨拶をすること。赤点は絶対取らないこと。人の痛みがわかる人間になること――」高校生たちは、いつしか陽を“ニイニイ”と呼び、慕うようになり練習に没頭するのだが――。
「美ら海水族館」で有名な沖縄県本部町にある、すべてが無料の音楽スタジオ「あじさい音楽村」。数々のアーティストを輩出し、今も多くの若者が集うこのスタジオは、現地で弁当屋「あじさい弁当」を営んでいた仲宗根陽(なかそねひかる)さんが、98年に夢を持つ高校生たちを応援したい一心で作り上げたスタジオ。この小さな町で起きた大きな感動の実話が映画化!
9月20日(火)、都内で公開直前イベントが行なわれ、主演の阿部寛、妻役のミムラ、バンドメンバーを演じた桜庭ななみと、スペシャルゲストとして沖縄出身の元WBA世界ジュニアフライ級王者の具志堅用高が登場。会場の観客に「希望のエール」を贈った。
MC:ご挨拶をお願いします。
阿部:今日は朝早くにありがとうございます。仲宗根さんの気持ちをどう表現するか……。とにかくまっすぐで、人のために尽くしきった人。この役を通していろいろなことを発見しました。
ミムラ:この作品は考えさせられることがとても多かった。公開日が近づくとドキドキして来ますが、このタイミングでお話しできて嬉しく思います。
桜庭:この映画は本当にいろんな人の思いが伝わる作品になっています。たくさんの方に観ていただきたい作品です。
MC:この映画は仲宗根さんが実際に暮らしていた、沖縄県の本部町にある「あじさい音楽村」での撮影ですが、いかがでしたか?
阿部:「あじさい音楽村」というのは本部高校から10mも離れていないところにあって、毎日通う生徒のがんばっている姿を見ることができる。そういうなかでの撮影で、仲宗根さんが若者たちを応援したいなという心が芽生えていったことがわかった。彼の奥さんやお母さんが今もそこでお弁当を作ったり、「あじさい音楽村」の音楽活動を手伝ったりされ、心のなかに彼がまだ生きていることを感じた。最初は凄くプレッシャーを感じていたが取材を重ねるうちに彼のいろいろな面を理解し、自分の中で成長させていきました。僕の中で特別な作品になりました。
ミムラ:本当に実際にあった出来事というだけで身の引き締まる思いがありますが、実際の場所で撮影という機会はなかなか得られるものではないので、とても感謝しています。本当にここで生活をされていたんだなって、ここに立って何を考えていたんだろう……。演技するうえでとても現場に助けられました。仲宗根さんの奥様が現場で私たちやスタッフをあたたかい目で見守ってくださり、気遣いと優しさで私たちを包んでくださいました。
桜庭:バンドをやる女の子の役でしたが、ライブシーンで仲宗根さんのお母さんが観客のエキストラで参加してくださり、私たちの演奏に涙を流されて、仲宗根さんが本当に大きな存在だったんだなって感じました。
MC:では、ここで本日のスペシャルゲストをお呼びいたします。元WBA世界ジュニアフライ級チャンピオン、リアル“ニイニイ”といっても過言ではない具志堅用高さんです!
具志堅:は〜い! よろしくお願いします。(阿部を見て)いや〜いちばんイイ男ですね〜。
阿部:いやいや……(照れる阿部)。仲宗根さんから沖縄の人の独特の眼のまっすぐさを感じたんですが、具志堅さんにもそういった雰囲気というか、たたずまいが僕の中で重なります。
具志堅:いや〜訛りがイイですね〜。この撮影場所が僕のお父さんの出身地なんですよ〜。
キャスト一同:え〜!
具志堅:だから撮影場所は全部知ってるんですよ〜。凄かったね〜スタジオをみんなで作って、お金もいっぱいかかったでしょ〜(場内笑)。
ミムラ:そこはあずかり知らぬところでございます……。
MC:具志堅さん、ミムラさんと桜庭さんの演技はいかがでしたか?
具志堅:いや〜バンドよかったですよ〜。最初はあんまり歌があれだったね〜。だんだん良くなっていった(場内笑)。お母さんも本当の沖縄のお母さんの雰囲気がでてましたよ〜。沖縄のお母さんは強いです。そしてがんばり屋。その感じが出てました。
ミムラ:阿部さんについていくというより負けないように並走する思いでした。ケンカの出来る夫婦になろう、あわよくば勝とうと……。スクリーンに立ったときの存在感では阿部さんに負けてしまうので、気持ちでは負けないでいくことを決めていました。
桜庭:具志堅さんに褒めていただき嬉しいです。四人みんな楽器はさわったことがなかったので部活のようにがんばりました。
MC:具志堅さんは若者の指導をされていらっしゃいますけれど……。
具志堅:やっぱりこの映画の10カ条にあるように“あいさつ”が大事ですね。あいさつできない若者もみんながやっていると出来るようになる。あと、人の痛みのわかる人間になることも大切。でも僕はリングの上で人を殴り倒して……(場内笑)、痛いだろうなって……。
ミムラ:スポーツですから……。
阿部:すべてに共通することですけど“あいさつ”って凄く大事ですね。仲宗根さんの場合は本当にいろいろな若者がいて、でも彼らをまっすぐ見て、愛情をもって真剣に怒るからみんながついて行く。本気でなにかに向かって行く若者をささえる大人の姿はとても素晴らしい。
ミムラ:自分が高校生のときどうだったかというと、ちょっと恥ずかしかったりして……、でもあいさつをしてみると凄く気持ちが良いことに気がつく。あれから10年経って今は人と人との繋がりということのよさをこの作品を通して感じます。
桜庭:本当に“あいさつ”って大切だなって思いました。私もしっかり、あいさつしなきゃいけないって思いました。
ミムラ:出来てるよ! 大丈夫だよ!(場内笑)
桜庭:あいさつから人と人とが繋がっていくんだなって感じました。
その後のフォトセッションでは阿部が仲宗根さんが実際使用していたエプロン(映画内でも使用)で登場。沖縄のお弁当も撮影のため用意され、具志堅が代表で試食を……。
MC:お味はいかがですか?
具志堅:凄く美味しいですけど、すこし薄味だね。しょうゆを“ちょっちゅ”だけ入れるね。
阿部:“ちょっちゅ”出ました!
ミムラ:聞けて嬉しい!
MC:それでは、みなさま最後にメッセージをお願いします。
桜庭:夢を追いかけることって大切だなって。熱い思いがあれば夢は必ずかなうって感じました。
ミムラ:いろいろな人の意見を聞いてみたい映画です。ななみちゃんのような10代から私のような20代、阿部さんのような40代、具志堅さんのような指導者の立場の方。人と人が支えあってそこからパワーが生まれる。そんなことを実感した映画でした。
阿部:この世界に入ってなるべく人と関わらないように、迷惑をかけないようにして来ました。しかし、仲宗根さんのこんなに人と関わって人を助ける生き方がこの役を演じて勉強になりました。ぜひ、指導者の方に観ていただきたい映画です。人との出会いが成長をさせてくれて、新たな道に進ませてくれる。可能性が無限に広がる。いろいろな方がこの映画からどういうことを学びとるのか、とても楽しみです。
原案:『僕らの歌は弁当屋で生まれた・YELL 』(リンダパブリッシャーズ刊)
監督:熊澤誓人
脚本:尾崎将也/うえのきみこ
出演:阿部寛/ミムラ/桜庭ななみ/矢野聖人/森崎ウィン/野村周平
主題歌:『ありがとう 』ステレオポニー(ソニー・ミュージックレコーズ)
配給:アスミック・エース
公開:10月1日(土)新宿バルト9ほか全国ロードショー
公式HP:http://yell-movie.com/
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