去る2月28日(月)、映画『八日目の蝉』の完成会見がウェスティンホテル東京で行なわれ、主演の井上真央、永作博美、小池栄子、森口瑤子、成島出監督、そして直木賞作家でもある原作者・角田光代が登場。
まずはご挨拶からどうぞ。
成島監督:原作を読み、どうしてもこの作品を映画化したいと思っていました。今日ここで報告出来ることを嬉しく思います。
角田:私の作品は途中で話がなくなることもあるんですが(笑)、今回は本当に素晴らしい作品にしていただき、とても嬉しいです。
井上:原作を読んだときにどうしても野々宮希和子に感情移入してしまい、誘拐されたほうの秋山恵理菜役と聞いたときはどう感情を表現したらいいのか、どう恵理菜役と向き合えばいいのかとても苦労しました。撮影中は日々壁にぶち当たりながら演じていましたが、無事完成したことを嬉しく思います。とても、愛と生命力にあふれた作品になっていると思います。
小池:今まで演技したことのない難しい役でした。親ってなんだろう? 家族ってなんだろう? そう自分とも照らし合わせて、とても愛に満ちあふれたこの作品に、試写後、涙が止まりませんでした。
森口:原作本が書店にならんだときに夢中になって読んだファンのひとりです。出演オファーをいただいたときはとても嬉しくこの作品に参加出来たことを誇りに思います。
永作:撮影中は迷宮で、なにが見えるのか見えないのかわからない幻想の中ひとすじの光に向かってどうにか進んで行きました。私の相手は0歳から4歳という大人が思うようには動いてくれない相手だったので、私にとっては新しい体験のお芝居でした。ある意味ドキュメンタリーの様な迫力のあるシーンになっているかと思います。
原作者として、ご自身の作品が映画化された感想をお聞かせください。
角田:最初はこのシーンは小説にあった、なかったという感じで観ていましたが、途中から夢中になり本当にもう泣いて泣いて泣いて泣いて、次の日は大変でした。この場で出演者の方を見るだけでまた、泣いてしまいそうです。小説が持っているテーマをもう一回り大きくして魂の開放を描いた作品になっているのではないかと思っています。
どの役も難しい演技だったかと思いますが、撮影を振り返って今の気持ちをあらためて聞かせてください。
小池:監督の求めるものも非常にレベルが高く、無我夢中で演技したのを憶えています。タイトルでもある『八日目の蝉』という意味を説明する大事なセリフもあり、緊張しました。熱い監督の指導には感謝しています。
井上:恵理菜という重要な役に日々責任を感じていました。小池さんのお芝居に対しての姿勢が素晴らしく私はずっとそこに頼ってばかりでしたが、ここまで自分が悩みながらもこの役と向き合えた事はとてもいい経験になりました。
永作:ここまで罪を犯す役は初めてだったので心理的なものを探ることが大変でした。あふれんばかりの愛情と両サイドの幅の広さに悩んでもわからないほどの役でした。中島美嘉さんのエンディングテーマ『Dear』にも私は泣かされました。映画の内容では表現出来なかった言葉や感情が表現されていて、試写会の最後でまた号泣してしまいました。
森口:映画の恵津子は原作とは違う切り口で描かれていて、娘のことが可愛すぎるからこそああいった態度をとってしまう、その愛情を押さえ込むような演技がとても難しかったです。
その後の質疑応答では永作は「避けては通れない作品。子供の扱い方を知っていたことが撮影では良かった」と語り「そうでなければ、まったく違う希和子になっていた」と、監督は「母親になった永作さんの化学反応が見たかった」とコメントした。
最後に井上は「この作品に運命を感じていた、裸でぶつかっていきたいと思っていました」と、撮影前の気持ちを語った。
4人それぞれの演技力が魅力な作品になっていること、断言できます。
原作:八日目の蝉 (中公文庫)/角田光代
監督:成島出
脚本:奥寺佐渡子
出演:井上真央/永作博美/小池栄子/森口瑤子/田中哲司/渡邉このみ/市川実和子/余貴美子/平田満/風吹ジュン/劇団ひとり/田中泯
配給:松竹
公開:2011年4月29日(金・祝)より全国公開
公式サイト:http://www.youkame.com/index.html
シネマピア映画レビュー:http://asobist.samplej.net/entame/cinemapia/0260.php
© 2011 映画「八日目の蝉」製作委員会