さあ、今回もまた日本が世界に誇るバンドをご紹介しますよう。「VOW WOW」!
もともとは「BOW WOW」として70年代から活動していたベテランバンドですが、メンバーチェンジを機に音楽性も変わり、頭文字を「B」から「V」に変更し、ほぼ別のバンドに。80年代半ばにはイギリスに活動拠点を移し、日本とヨーロッパを中心に大人気でした。その実績から、イギリスのミュージシャン・ユニオン(詳しくはウィキペディアなんかで調べてね)に加入を認められたほどなんですが、残念ながらVOW WOWは解散し、現在はBOW WOWとして活動しています。
さて、時は戻りまして、また俺の中学時代。当時の俺は、VOW WOWの存在も、バンドの凄腕ギタリスト、山本恭司さんの存在も知ってはいたんだけど、「WHITE SNAKE」とのときと同じように、古臭いバンドってイメージを持ってました。“B時代”の曲も知ってはいたけど、昔の曲だなあ……って感じで。“V”になってからも、まあ、時代もあるだろうけど、衣装はダサいし、短髪のメンバーがいたりと、どうも垢抜けない感じがしてねえ。もともと「DURAN DURAN」のような“男前バンド”でロックに目覚めてしまった俺は、情けないことに、ルックスも気に入らないとあまり聴こうとしない傾向があったんですわ。
下でご紹介の曲も入っておりますよ。
お買い求めは文末で ところが、あるとき「夜のヒットスタジオ」にVOW WOWが出演するというので、いちおう観ておこう、ぐらいの感じで観てみたら、あまりの凄さにひっくり返ってしまいました。特に、ドラマティックなイントロに続いて聴こえてきたぶっとい歌声には、ひっくり返るどころの騒ぎではなく、一瞬で鳥肌が立ったほど。その歌声の主、人見元基さんは長い黒髪に純和風な顔立ちなんだけど、声質といい、声量といい、その歌唱力は日本人離れしていて、「外国の人?」って思ったぐらい。垢抜けないなんて失礼なことを思っていたメンバーのルックスも、垢抜けないどころか洗練されていたし、それに加えて世界を相手に戦っている、という堂々とした風格さえ伝わって来て、他の出演者との段違いの迫力に圧倒されっぱなしでした。他に誰が出てたか覚えてないけど。
その日演奏した曲は洋楽みたい、というか、正直、洋楽にしか聴こえませんでした。当時のVOW WOWといえばすでに渡英していたころだし、元基さんはネイティヴ並の英語を話せるそうで、英詞もまったく問題無かったらしいし、おまけに、なんとWHITE SNAKEのニール・マーレイが正式メンバーとしてベースを弾いていたりと、ある意味、洋楽に聴こえるのも当たり前だったのかもしれないけど、演奏やメロディセンスも含め、とても日本のバンドとは思えなかった。そして気が付けば俺は、バンドのタイトな演奏と、何よりも元基さんの圧倒的な歌声にすっかり魅せられていたのです。でね、元基さんたら、胸板も厚く、セクシーだったのよ(笑)。一緒に観ていた二番目の姉がすぐにファンになったのは言うまでもありません。
VOW WOWはテクニシャンのメンバーが揃い、緻密に練られた楽曲を演奏するバンドで、個人的には欠点が見当たらないぐらいなんだけど、あえて言うなら、もう少し荒削りなところがあっても……とか、巧すぎるとか(笑)、もはや言いがかり。それぐらい、完璧なバンドでした。一度もライヴを観たことが無かったので、解散したときは凄くがっかりしたなあ。正直なところ、あくまで個人的にだけど、「LOUDNESS」とVOW WOWを超えるような国産のハードロック/ヘヴィメタルバンドはいまだに現れていないと思っています。特に、ヴォーカリストに関しては、正直言って、元基さんを超えるロック・ヴォーカリストって現れるんだろうか? と思ってしまいます……。
VOW WOWの解散後はそれぞれが新しいバンドを作ったりと、紆余曲折のあと、“B時代”のメンバーが集まってBOW WOWとして再結成。現在も活動をしていますが、そこに元基さんの姿はありませんでした。新しくバンドを組むことも、他のバンドに加入することもなく……。で、現在はどうしているのかというと、なんと、高校の英語教師! そんな先生、生徒が羨ましいわ。学校の夏休みや冬休み期間(笑)なんかにはセッションバンドでライヴをやったりしてるけど、音楽活動への本格的な復帰は無いとのこと。でも、去年、一昨年と、期間限定でVOW WOWのライヴをやったんだよね。しかし俺は諸事情により観に行けず。観た人の話では、現役時代より凄かったかも! とのことで、ほんとに残念。年に一度で構わないから、またやってくれないかなあ。せめてCDだけでも! あの歌声を眠らせておくのはもったいなさ過ぎる……!
今回の動画は、俺が衝撃を受けた「夜ヒット」の映像を紹介したいと思ったんだけど、残念ながら見当たらなかったのでPVで。とにかく聴いて! 『Don’t Leave Me Now』、アルバム『V』に収録です!