「ikkieの音楽総研」も、気が付けばもう9回目。早いもんですねえ。毎回読んでくださっている方には、そろそろ俺の音楽的嗜好もわかっていただけていることでしょう……と勝手に決め付けて今回も話を進めていきますね。
みなさんもご存知のように(?)、ハードなギターサウンドにポップでキャッチーなメロディが乗っているバンドが俺の大好物。そして新たに加えるならば、切ないバラードがあるとなお良し! というわけで今回は(あくまで俺個人のランキングですが)、「ハードなギターサウンドにポップでキャッチーなメロディが乗って切ないバラードもあるバンドランキング」(長いって)のTOP3に入るバンド、「DEF LEPPARD」を紹介します!
「DEF LEPPARD」は、イギリス出身の五人組。サードアルバム『PYROMANIA』が、全米チャートであの『スリラー』に次ぐ2位になるという大ヒットを記録しながらも、ドラマーが事故で片腕を無くし、その事故をメンバーチェンジもせず乗り越え、発表したアルバム『HYSTERIA』が前作を軽く超える大ヒットを記録するも、中心メンバーが亡くなってしまう……と、どうにも悲劇的な出来事につきまとわれたバンドですが、バンドの楽曲はあくまでポジティヴ。切ない曲もたくさんあるけど、ライヴは楽しく、聴くと必ず元気をもらえるバンドです。
彼らの特徴は、印象的なギターリフと、一緒に歌いたくなるようなポップなメロディに、ゴージャスな分厚いコーラス! 彼らは歌が上手いメンバーが揃っていて、ライヴでもキレイで分厚いコーラスを聴かせてくれるんだけど、CDの場合はそれがさらに強調されていて、大迫力なんですよ!
ロックバンドのレコーディングって、「せーの!」と一緒には録音せずに、楽器を別々に録音することが多いんだけど、そうすると、ギターが一人のバンドでも、ギターを二本入れたり出来るんだよね。そして、楽器に限らず、ヴォーカルを一人で何重にも重ねる、なんてこともやります。これ、声が細いとか、下手だから、という理由ではありません。どんなに上手い人でも、同じメロディを毎回まったく同じように歌うというわけにはなかなかいかないもので(出来る人もいますが)、少しずつ「違い」が出るんだけど、あえてその「違い」を重ねることによって、一回だけ歌ったものとは違う、厚みや独特の質感が加わるんですね。ちょっと特殊な例だけど、「ENYA」なんかは何百回(!)も重ねて歌うことで、あの独特の雰囲気を作り出しているみたいですよ。
で、そうやって一人で歌っても効果が出ることを、「DEF LEPPARD」はコーラスで盛大にやります。もともと何人かで歌うコーラスをさらに重ねて録るので、その効果は絶大! 奥行きというか、スケール感が増して、さらに大迫力になります。そういう「生」っぽくないことを嫌う人も多いけれど、俺の場合は、CDはCDとして割り切って、とにかく質の高い作品を作り、例えライヴで再現出来なかったとしても、ライヴでは「生」ならではの魅力があればまったく問題無し! そう考えているので、彼らのやり方を肯定しているし、影響を受けてもいます。自分のバンドのレコーディングでも、何度もコーラスを重ねて、メンバーに「もういいんじゃない?」と言われるぐらい……。出来上がりを聴くとメンバーもその効果に納得してくれるんだけど、「これ、『DEF LEPPARD』っぽいね」と言われることも(苦笑)。まあ、それぐらい、彼らのコーラスは特徴的です。
最後に彼らの魅力のひとつであるバラードについて。彼らはハードロックバンドなので、いくらポップだと言っても、やっぱりハードな曲が中心なんだけど、アルバムには必ず切ないバラードが収録されています。それらのバラードには、俺の失恋の思い出がいちいち絡んでいたりもするんだけど(苦笑)、その辺は割愛して、今回は簡単にお気に入りの切ないバラードを紹介しようと思います。
「悲しい」と「切ない」の違いってちょっと難しいけど、落ち込んだ顔で「悲しくてたまらない」と言われるよりも、ほんとは悲しいのに、明るく「悲しくなんかないよ」と言われたほうが、切なくないですか? 俺は男のやせ我慢ってのにたまらなく弱くて、女性にはそこんとこをわかってもらいたいと常々思っているんですが、なかなかわかってもらえないんですよねえ……。ああ、あのときのやせ我慢に気付いてくれていたなら!!……話がそれちゃった。えーと、今回紹介するのもそんな切ないバラードです。明るめにも聴こえるんだけど、実は凄く切ない。ポップで切ないメロディ、印象的なギター、幾重にも重ねたコーラス……「DEF LEPPARD」の魅力が十二分に詰まった名曲です。
……しまった、いま歌詞読み直してみたら、この曲ちっともやせ我慢してねえ。でも切ないは切ないから、まあいっか。よくない? よくなくってもまあ聴いてみて、ね。