第6回 バンド(?)編 Paul McCartney――ヤァ!ヤァ!ヤァ! ポール派がやってきた!

ikkieの音楽総研、今回は「ポール・マッカートニー」の登場です! わざわざ俺が紹介しなくても、って人ですけどね。まあ、みなさんもよーくご存知だと思いますので、彼の音楽がどうした、ということよりも、個人的な思い入れのみ書かせていただきます。誰だ「毎回そうだろ」と言っているのは。しばしお付き合いを。

Paul_McCartney_03.jpg 以前「『DURAN DURAN』に洋楽童貞を奪われた」と書きましたが、俺がはじめて外国のバンド、と意識したのは「DURAN DURAN」ではなく「THE BEATLES」、そう、ビートルズでした。こちらは「童貞喪失」ではなく、「初恋」といった感じでしょうか。たしか小学校に入ったころだと思うんだけど、テレビでやってたビートルズのアニメが好きで、よく見てたんですよね。まだほんの子供だったので、ビートルズが好きだったというより、アニメに出てくるキャラクターとして好きだっただけのような気がするし、そもそも実在のバンドだと知っていたかどうかも今となっては覚えていないけど……。まあそれでも、そのアニメでビートルズを認識しました。

そんな感じの出会いではありましたが、今となっては、無条件で降参したくなるぐらいの尊敬の念と憧れを抱いています。初恋なんていう淡いもんじゃないなあ。ミュージシャンとしての経験や知識が増えれば増えるほど、ビートルズに対する敬意が増してくように思う。どの曲でもいいからいつかカバーしてみたい、と思ってるんだけど、なんだか恐れ多くて。いまだに出来ません。

さて今回の主役、ポールです。俺はビートルズの中でも特にジョン・レノンが好きで、心酔していたと言ってもいいぐらいなんだけど、最近はジョンよりもポールのCDを聴いていることが多くなったんですよ。20代のころを思えば考えられないし、自分でも不思議だったんだけど、大人になってよりポールの魅力がわかるようになったのかな? でも、昔から(ビートルズ以降の)どちらかというとシンプルでストレートなジョンの楽曲よりも、ポールのポップで緻密に練られた楽曲により感銘を受けていたような気がするし、カラフルなメロディでいっぱいのポールの楽曲は、俺の理想に近い。もしかすると、俺はジョンに対しては楽曲そのものよりも、歌詞や言動、いわばジョン・レノン自身に心酔していて、純粋に楽曲だけ、特にメロディに関しては昔からポール派だったのかも。まあ、俺が歳を取って、尖ったジョンよりも、丸いポールのほうが良くなっただけかもしれないけどね!

そんなポール派(?)の俺が今回紹介する楽曲は、『No More Lonely Nights』というポールの84年のヒット曲です。ポールの数ある名曲の中からいえば、大方の人たちから忘れ去られている曲なのかもしれないけど、俺はこの曲が大好き。


当時、ポールが何者なのか、ってことをはっきり認識してからリリースされた曲だし、自分の中では、ビートルズの新曲!ぐらいの感覚でした。ポールのソロ曲の中ではいちばん好きで、この世の中にある曲の中でも、ベスト10には入るかな。それぐらい好きな曲です。
ちなみにこの曲は、ポール自身が主演する『ヤア! ブロードストリート』という映画のテーマソング。小学生のころ、今は無き地元金沢の「ロキシー」という映画館に貼ってあったこの映画のポスターがカッコよくて、ポスターを見るためだけに映画館に通ったんだよね。映画ももちろん観たかったけど、観に行くような小遣いはなかったし、親にねだることも出来なかったから、せめてポスターだけでも!って。健気だなあ、俺。

paul_03.jpg 今でもこの曲を聴くと、あのポスター見たさに雪の中を歩いて映画館に通ったことを思い出します。かわいそうって言わないで。

しかし、この映画、去年ようやくDVDを買って観たんだけど、もー、B級どころかC級?めちゃくちゃつまんないの。ビートルズの曲を違うアレンジでやってたり、リンゴ・スターが出てたりと、まあ、PVとして観ればいくらか見どころもあるかもしれないんだけどね。でも正直、金返せというか……、なんだか少年時代の俺が不憫になりました。こんな映画のために雪の中を歩いたのかと。なんかね、初恋の人に四半世紀ぶりに会ってみたらすげえ嫌な女だった……みたいな気分でしたわ。俺の純情を踏みにじりやがって。
かわいそうって言って。

ここまで書くと反対にどんな映画か観てやろう、って物好きな人が出てきそうだけど(笑)、残念ながらDVDは廃盤のようです。中古で結構見かけるので(みんな叩き売ったんだと思います)、見つけたら話のタネにでも。
ヤア! ブロードストリート
ちなみに↑これはサントラ。
サントラだけでいいと思うけどね。