あそびすと読者の皆様、謹賀新年でございます! 去年もやっぱり気が滅入るようなニュースが多かったように思いますが、今年こそは明るいニュースをたくさん聞きたいものですねえ。音楽総研も、皆様が楽しい時間を過ごすためのお役に立てるといいなと思っています。今年もよろしくお願いしますね! さて、新年一発目はMOTÖRHEAD をご紹介! 去年はとにかく伝説的なミュージシャンの訃報が多い年でしたが、年末に届いたレミー・キルミスターの訃報には本当に驚きました。11月に元ドラマーのフィルシー・“アニマル”・テイラーが亡くなり、MOTÖRHEADのことを書こうかなと思っていた矢先の出来事で、今でも信じられないです……。
MOTÖRHEADは75年にレミー・キルミスター(Vo,B)を中心に結成されたイギリスのバンド。疾走感のある、激しく野蛮なロックンロールサウンドが特徴で、HR/HMやパンクなどジャンルを超えて多くのアーティストに影響を与えています。特に中心人物のレミーは、音楽のみならずその破天荒なライフスタイルや佇まいのクールさから、ジャンルも年齢も関係なく、多くのファンから愛されていました。近年のレミーはオジー・オズボーン並みのロック・アイコンになっていたように思うなあ。MOTÖRHEAD自体も、以前はどちらかといえばマニア向けのバンドだったのに、今はもうBLACK SABBATHやAC/DCのようにロック好きなら誰もが認める伝説的なバンド、って感じになっているよね。長年の間、変わらぬスタイルでロックンロールを轟かせ続けていたことがこういった評価に結びついたんだろうけど、サマーソニックやフジロックのようなフェスで、それまでMOTÖRHEADのことを知らなかった若いファン達がMOTÖRHEADに衝撃を受けて、それがインターネットや口コミで広がっているんじゃないかな。若いファンがほんとに増えていたみたいだし、古くからのファンとしては誇らしい限りです。
『Ace Of Spades』
問答無用のカッコよさ。
これに痺れない人とは友達になれないっす。
ドラムはフィルシー・テイラー。
俺が初めてMOTÖRHEADを聴いたのは80年代の半ばごろ。THIN LIZZYのブライアン・ロバートソンがいたと聞いて興味を持ったんだけど、ブライアンはあまり激しいプレイをする人では無かったから、MOTÖRHEADの前評判と一致しないし、すごく違和感があってねえ。そして聴いてみたMÖTORHEADからはやっぱりTHIN LIZZYとの共通点は感じられず。……さらに、ブライアンはすでに脱退していたという(笑)。それでも、アルバムを聴き終えたころには、レミーのドスの利いたダミ声と、バンドのド迫力の演奏に痺れるほど感激し、すっかりファンになっていました。いやもう、とにかくカッコよかったのよ。レミーのベースだとは思えないような歪んだ音が凄いだとか、2人のギタリスト(当時はフィル・キャンベルとワーゼルの2人が在籍)のコンビネーションが良いだとか、その魅力をいくつも挙げることは出来るけど、MOTÖRHEADのことは、あれこれ言ってもしょうがないんだ。MOTÖRHEADは、“カッコいい”の一言に尽きる。それはやっぱりレミーの存在によるところが大きいんだろうけど、ロック好きの本能を鷲づかみにする魅力がMOTÖRHEADにはあるんだな。
そう、本能だ。ロック好きもリスナー暦が長くなってくると、あれこれと理屈をこねるようになってくるけど、もともとはバンドの勢いだったり、衝動だったりに、ぶん殴られるような衝撃を受けてロックを好きになったんじゃないか。そして、そこに理屈はなかったと思う。このコード進行がどうしたとか、このテクニックが……なんてことは後付けのはずだ。MOTÖRHEADはそんな理屈を全部吹き飛ばして、ロックの凄みを存分に感じさせてくれる。これはもう“カッコいい”としか言いようがないでしょ。
『Overkill』
これもたまらん……。
レミー以外のメンバーはフィル・キャンベル(G)とミッキー・ディー(Dr)。
レミーは70歳で、フィルシーはもう少し若くて61歳だった。2人とも、普通に考えればロックミュージシャンとしては高齢だ。フィルシーのことはMOTÖRHEAD脱退以降のことは知らなかったからなんとも言えないけど、レミーは糖尿病を患っていたらしいし、闘病のためにツアーをキャンセルしたこともある。それでも、レミーなら大丈夫だろう、と思っていたのは俺だけじゃないんじゃないか。去年発売されたアルバム の出来が良かっただけに、なおさら驚いている。フジロックにも出演したばっかりだったのになあ。不死身のように見えるミュージシャンだっていつかは亡くなる……。そんなことはよくわかっているんだけど、まだ気持ちの整理が付かないです。
……ちくしょう、寂しいなあ。