9月15日と16日の2日間、JAKE E. LEE’S RED DRAGON CARTEL(以下RDC)のライヴを観てきました! 昨年7月の25年振りの来日公演からたったの1年で、またジェイク・E・リーのライヴが観られるなんて想像もしていなかったなあ。一昨年のギタークリニックも入れると、なんと3年連続でジェイクを日本で観ていることになる。ジェイクが17年もの長い間、表舞台から姿を消していたことを思うと、いまのこの状況が信じられないけど、本当に嬉しい限りです。さて、今回は来日公演初日、9月15日のライヴレポートをお届けしますよう!
去年ほどではないにしろ、やはり出かける時刻が近くなるにつれソワソワしだした俺は、オープンの30分ほど前に会場の渋谷クラブクアトロに到着。さらに、特に理由も知らされず会場のオープンが30分ほど遅れて、なんだか焦らされたような気分になってしまい、思わず小走りで客席に向かう。それでも小走りだったのは俺ぐらいで、整理番号が100番以降だったのにもかかわらずジェイク側の前から5列目ぐらいのポジションをゲット。年齢層が高めだったせいもあってか、後方でお酒を飲みながらじっくりライヴ観戦という人も多かったみたい。そんなわけでなかなか埋まらないフロアにお客の入りが心配になっていたんだけど、19時前にはほぼ満員に。ライヴに向けて気分も盛り上がってきたぞ。平日だったし、仕事が終わってから駆けつけた人も多かったのかな。そして定刻を10分ぐらい過ぎたころに場内が暗転、SEや特別な演出もなくメンバーがバラバラと登場。もう少しカッコ良くしてよ、と思わなくもないが、観客は大きな歓声でバンドを歓迎。去年の来日以降、何度もメンバーチェンジがあったようだけど、ジェイク以外はヨナス・フェアリー(Dr)、出戻りのダレン・スミス(Vo)、新メンバーのアンソニー・エスポジート(B)に落ち着いたようだ。
『Shout It Out』
このオリジナルバージョンはかなりインダストリアル風味だけど、
ライヴになるともっとオーセンティックなハードロックに。
ライヴのほうがカッコ良いよ!
ヨナスのドラムでオープニング曲を察した客席から大歓声が起こる。オジー・オズボーン時代の『Ultimate Sin』 だ! 去年と同じオープニング曲でも、やはりこの高揚感あふれるイントロには興奮させられてしまう。ジェイクは少し赤ら顔……お酒が入っているのかな? それでもプレイは去年よりもさらにキレがよく、しかもクリーンで、耳栓が必要なほどの爆音の中でもしっかりとフレーズが聴き取れる。ダレンはいったん脱退していた理由がまったくわからないほどバンドにフィットしていたし、新メンバーのアンソニーはそのルックスの良さもあって、バンド全体が若返ったような印象を受けた。そして続く『Wasted』 はRDCの楽曲の中で俺のいちばんのお気に入り。オジー時代の曲に比べると反応は薄めでも、パンキッシュで勢いのあるこの曲に客席は大いに盛り上がり、ダレンの「気分はどうだ? 楽しんでるか?」との問いに大きな歓声で応えた。
右手の人差し指や薬指で弦を叩き、ハーモニクスをランダムに出すジェイクファンにはおなじみのジェイク・フェイク(ジェイクの数々のトリッキーなテクニックのこと)の後に続いたのは、BADLANDSの『High Wire』 。前回も思ったけど、キーが高くてテクニックも必要なBADLANDSの楽曲を歌いこなすダレンは凄い。ステージアクションも前回よりかなり良くなっていたし、ジェイクばっかり見ている俺でも、ダレンに目が行くことが何度もあった。ダレンとヨナスの掛け合いコーラスがカッコいいRDCの『Shout It Out』 は、実にライヴ映えのする良い曲だ。やっぱりオジーやBADLANDSの曲のほうが盛り上がるけど、個人的にはRDCの曲も負けていないと思う。ジェイクを知らないような若い人には、RDCの曲のほうがきっと受けがいいんじゃないかな。
『Now You See It(Now You Don’t)』
ギターソロでは右手のタッピングでディレイを模した
フェイク・エコー(ジェイク命名)をやっているところが見られます。
これ、CD聴いただけだと、こんな方法でやっているとは思わないよね。
ちなみに、この時のベースは元BADLANDSのグレッグ・チェイソン。
続いてジェイクが弾き始めたリフはオジー時代の『Now You See It(Now You Don’t)』 。今になって思えばアメリカのツアーでやっているのをすでにYouTubeで観ていたんだけど、そんなことはすっかり忘れていたから本当に驚いてしまった。BADLANDS以降
、あまり聴かれなくなったジェイクの泣きのギターが聴ける隠れた名曲だけど、オジーの楽曲の中では地味な部類に入るこの曲をやるなんて想像もしていなかったからね。まさか生で聴ける日が来るなんて! と大感激したよ。そして、想像していた以上にギターソロがジェイク・フェイク満載だったのにも驚いた。バッキングにしても、そんなことやってたの?! と、思わずジェイクの手元を凝視してしまったほどの弾き方で、ジェイク・E・リーというギタリストのアイディアの豊富さに感心しきり。ジェイクのギターを聴くとすぐにギターキッズに逆戻りしちゃうね。そして、この意外な選曲に、前回とは違う曲もたくさんやってくれるかもしれない……と、期待がどんどん大きくなってきたぞ!
(後編に続く)