だんだん暖かくなってきましたねー。でも、花粉もどんどん増えてきてますなあ。ああ憂鬱……。さて、今回の音楽総研は今年で結成50周年を迎えるドイツの大ベテラン、SCORPIONS をご紹介! 2010年に解散を表明し、フェアウェルツアーを行なっていた彼らですが、今年になって解散を撤回、ニューアルバム も発表されました!
SCORPIONSは65年にギタリストのルドルフ・シェンカーを中心に結成され、72年にデビュー。ファーストアルバム にはルドルフの実弟、マイケル・シェンカーも参加しています。日本で人気が出たのはそのマイケルが脱退し、後任に当時ウルリッヒ・ロートと名乗っていたウリ・ジョン・ロート が加入してから……ってことだけど、70年代の彼らのことは俺もさすがに後追い。クラウス・マイネの攻撃的ながらも甘い歌声と、ルドルフとウリが書く日本人好みの叙情的な楽曲で、本国に次ぐほどの人気が日本でもあったらしく、当時の日本公演が収録されたライヴアルバム も発表されています。俺がSCORPIONSを知ったのは、ウリが脱退して後任にマティアス・ヤプスが加入した80年代になってから。天才ギタリストとして名高いウリはいなかったし、音楽性にも変化があったんだけど、ロック初心者だった俺にはそんなことは関係なく、ウリ時代よりキャッチーになっていたSCORPIONSのサウンドは取っ付きやすくて、夢中になって聴いたよ。
『Sails of Charon』
ウリ時代の名曲。イングヴェイ・マルムスティーンや、マーティ・フリードマンなど、
一癖も二癖もあるギタリスト達がウリからの影響を公言しています
今になって聴き比べてみると、ウリ時代の楽曲はたしかに独特の輝きを放っていて、他のどのバンドにも似ていないし、あの時代のSCORPIONSがいかに特別なバンドだったのかがわかる。また、若さゆえか、サウンドには一触即発とも言える緊張感が漲っていて、ハードなロックチューンは言わずもがな、バラードまでもが鋭い切れ味を持っていた。その時代のSCORPIONSに魅せられたファンならば、ウリ脱退以降はアメリカナイズされたとか、売れ線狙いだ、なんていう意見があるのもしょうがないかな。でも、たしかにそういう側面はあるかもしれないけど、より洗練されて完成度が高くなったとも言える。事実、ウリ時代よりも多くのファンを獲得し、ワールドワイドな成功を手にしたのはマティアス加入以降だ。だけど、俺より年上のSCORPIONSファンはどうしてもウリを絶賛する人が多くてね。ここでは、ウリがいなくても凄いバンドだっていうことを強調しておきます。マティアスは良いギタリストだし、そして、ウリがいかに凄くともSCORPIONSのメインソングライターはやはりルドルフで、ルドルフのギターとクラウスの歌声さえ聴こえてくれば、それがSCORPIONSだと言っても過言じゃない。彼ら2人を「HR/HM界のレノン&マッカートニー」と評した人がいたけど、彼らは、まさにTHE BEATLESに勝るとも劣らないメロディアスな名曲をたくさん書いている。しかも現在も続けているわけだからね。本当に凄いよ。
『Rock You Like a Hurricane』
アラフォー世代の俺にとってSCORPIONSといえばコレ! クラウスの髪型が衝撃的でした
80年代のHR/HMの大ブームとともにSCORPIONSの人気は爆発、西欧諸国や日本だけではなく、まだまだロック未開の地だった旧ソ連でも人気を博す。そして90年に発表された、旧ソ連の変革を歌ったという『Wind of Change 』は、楽曲の良さは当然として、同じ頃に彼らの母国で起こったベルリンの壁崩壊という歴史的な出来事ともイメージが重なり、世界中でチャートの1位を獲得、SCORPIONS最大のヒットシングルになった。本国では東西ドイツ統合のテーマソングのような曲として記憶されているらしく、彼らはハードロックやヘヴィメタルという枠を超えた国民的なバンドとして愛されているという。今の日本だと、昔人気があったバンド、ってイメー
ジだよね。寂しいなあ。
『Wind of Change』
名バラード。なんと、クラウスが生まれて初めて一人で書いた曲がこれなんだって。凄すぎ!
そんなSCORPIONSもさすがに歳を取り、2010年に引退を表明。これは実質的な解散宣言で、かなりショックだったけど、メンバーの年齢を考えるとしょうがないか、とも思ってしまった。HR/HMは肉体を酷使する音楽でもある。そんな音楽を演奏し、世界中をツアーするのは若くても大変だ。それを50〜60代のメンバーが続けるのはね……。しかし、これが最後と宣言して始まったツアーは世界中で大好評、延長に次ぐ延長が行なわれ、肉体的にも精神的にもまだまだやれると感じた彼らは、ついには新作を発表し、解散も撤回! 今年発表された新作は80年代的なニュアンスを感じさせつつ、“今”も感じさせる素晴らしい内容だ。衰えなんて少しも感じさせない。これほど充実した作品が作れるならば、解散も撤回したくなるだろう。どんなバンドにだっていつかは解散や引退の時がやってくる。それでも、それは少しでも先のことであってほしい。SCORPIONSならなおさらだ。久しぶりの来日公演も実現しそうだし、SCORPIONSにはまだまだ頑張ってもらわないとね!
『We Built This House』
今年発表の新作から。なんだこのカッコ良さは! 鳥肌立つわ
※ikkieがなんと「出張ギター教室」を始めてしまいました!
とにかくここから アクセス! 動画もあるよん。
http://dokodemoguitar.com/