先日、 某ライヴハウスで行なわれたコピーバンドのイベントに参加してきました。俺はGUNS N’ ROSESのコピーバンドで出演したんだけど、カーリーヘアのヅラにシルクハットをかぶり、ギターもいつものストラトキャスターからレスポールに持ち替えてスラッシュになりきってね。で、これが予想以上に楽しかった! 自分の演奏だけじゃなく他のバンドを観るのも楽しかったし、コピーバンドっていいもんだなあ、と改めて思った次第でございます。そんなわけで、今回は普段の音楽総研とは少し趣向を変えて、コピーバンドについてあれこれと。
/(スラッシュ)こと、わたくしikkie。
ギターに対する頭の角度がなかなかスラッシュっぽいでしょ?
ちなみにドラムのスティーヴン・アド街ック天国はヅラがずれちゃった後です(笑)
コピーバンドというのは、自作のオリジナル曲を演奏するのではなく、既存のアーティストの楽曲を“コピー”しているバンドのこと。楽曲だけをコピーするバンドもいれば、衣装や見た目、アクションまでもそっくりにコピーするバンドもいて、そういうバンドはトリビュートバンドなんて呼ばれ方もしています。コピーではなく、“カヴァー”なんて表現もあるけど、カヴァーはオリジナルにアレンジを加えて、ただのコピーじゃないですよ、というアピールに使われることが多いかな。メジャーなアーティストが他のアーティストの楽曲を演奏する場合は、必ずカヴァーって言うよね。でも、その出来によっては、これカヴァーじゃなくてコピーじゃん、なんていう批判が出てくることも……。
いきなりオリジナル曲を作曲しちゃうモーツァルトのような天才でもない限り、楽器演奏を習得したりバンドを始めたりする場合、最初にやるのは既存の楽曲のコピー。特にロックの場合は、あのバンドみたいになりたい! とか、あの曲を弾いてみたい! という初期衝動から楽器を手にすることが多いし、コピーしたことがない、なんて人は皆無のはず。俺もいろんなアーティストをコピーしたよ。オリジナル曲を作り始めてからは自分のバンドではほとんどやらなくなったけど、演奏技術だけでなく、作曲やアレンジのイロハも、コピーしたからこそ身に付いたんだと思う。
ただ、バンドマンすべてがオリジナル曲をやりたがるわけではなく、憧れのアーティストの曲だけを演奏したいという人もいて、そういう人たちはコピーバンドをやるわけです(もちろん、オリジナルバンドをやりつつコピーバンドをやっている人も)。俺はオリジナル曲をやるプロになりたくてギターを始めたから、自分の曲をやりたくならないのかな? なんて、昔は疑問に思ったものだけど……どっちが良い悪いじゃなくてね。でも、今はどっちの感覚もわかる。みんながみんなプロになりたいと思っているわけじゃないし、純粋にその楽曲やアーティストが大好きで、演奏することそのものを楽しんでいるんだろうな。
初心者のころに練習のためやオリジナル曲がないからコピーする……というのとは違って、演奏が上達してからのコピーはオリジナルのニュアンスに近付ける技術もあるし、どうかすると、歳を取って往年の迫力がなくなってしまった本家よりも良い演奏を聴かせてくれるバンドもいる。本家の魅力は演奏力だけじゃない、という問題はさておき、ね。それから、解散したバンドの曲を聴けるのもコピーバンドの良いところ。ビートルズ なんてもう二度と観られないし、LED ZEPPELINなんかも本家を観られる可能性は限りなく低い。そうなると、コピーであれクオリティの高いライヴが観られるなら観てみたいという人は世界中にたくさんいて、プロのコピーバンド(この場合はトリビュートバンドかな)というのも存在します。ビートルズやLED ZEPPELINと同じ機材を使い、同じ衣装を身に付け、オリジナルそっくりの演奏をする……これね、あくまでコピーだけど、もう名人芸だよ。コロッケや清水アキラの物真似にしても、あそこまで凄いとお金払って観たくなるでしょ? それと同じ。凄すぎて本家も公認、なんてバンドもいるし……ちょっと特殊な例だけど、JOURNEYのアーネル・ピネダや、JUDAS PRIEST にいたティム・オーウェンズも、元々コピーバンドにいたのを見初められて本家に加入しちゃったわけだし、たかがコピーバンドとあなどるなかれ。
ロサンゼルスをベースに活動するLED ZEPPELINのトリビュートバンド、「LED ZEPAGAIN」。
似過ぎでしょ!
ギタリストは日本人のジミー桜井氏。なんと、このバンドに参加するために渡米されたそうです。
先日、来日公演も行われました
今回久しぶりにコピーバンドをやってみて、ギターを弾くこと自体をずいぶんと楽しんでいる自分に気付いた。ギターを弾いて、バンドをやっていることが楽しくてしょうがなかったんだよね。普段オリジナル曲をやっている時だってもちろん楽しいんだけど、自己顕示欲なんかの雑念が消えるというか(笑)、ギターを始めたばかりのころの感覚に戻ったような楽しさや嬉しさがあった。当日の会場も、それぞれが本物になりきって演奏する姿にはアーティストに対するリスペクトと音楽に対する愛情が溢れていたし、感動すら覚えるほど。コピーバンドもなかなかいいもんです。俺もまたやりたいなあ。そのうちガンズから誘われるかもしれないし! ……こういう雑念が良くないんだな。
※ikkieがなんと「出張ギター教室」を始めてしまいました!
とにかくここから アクセス! 動画もあるよん。
http://dokodemoguitar.com/