【GRETSCH】6120-1962


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マエストロ竹下:はぁぁ……
スネイク君:どうしたんですか? 元気ないっすね。
マ:いやぁ、毎年このごろになると思い出すことがあってなぁ……
ス:あ、あれでしょ、「年賀状どうしようかな」とか思ってブルーになってたんでしょ。
マ::バカモーン! ちがーう!! 12月8日がなんの日か知らんのか?
ス:……あ! 太平洋戦争が始まった日!
マ:その通り! ……いや、その通りなんだが、俺的にはジョン・レノンの命日だ。1980年の事だから……ああ、もう30年も経つのか……。
ス:そうだったんだ!
マ:享年が40歳だから、いつのまにか自分がジョンよりも年上になっちまったと思うと、なんだか切なくってなぁ……。
ス:そんなこと言ったら、マエストロさんよりもずっと若く亡くなってるミュージシャンってたくさんいるじゃないですか。ジミヘンとかカート・コバーンとか。
マ:そりゃそうなんだけどな。やっぱりジョンは特別なんだよ。
ス:そんなモンですかねぇ。
マ:世代を超えた存在だからな。今年はビートルズのアルバムがiTunesストアで発売されたり、ジョンのソロアルバムがリマスターされたり、ジョンをモデルにした映画が公開されたりと話題に事欠かなかったな。

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THE BEATLES 1962 – 1970

ス:僕、ビートルズのアルバムって持ってないんですけど、オススメは何ですかね?
マ:全部。
ス:いや、一度には無理っす。そこをなんとか(っつーか、前回もこのパターンだったじゃん……)。
マ:ならば、ここはやはり最近リマスターCDが出たばかりの『赤盤』『青盤』だろうな。
ス:あ! このジャケットは知ってます!! 有名ですよね。
マ:そう、EMI本社のバルコニーで、1962年と1969年に撮影されたものだな。
ス:7年の間に見た目がずいぶんと変わりましたね。
マ:見た目だけじゃないぞ、音楽的な進化も良くわかる2セットだ。
ス:ジョンってどんなギターを使ってたんですかね?
マ:お? 来たね、イイ質問だ。有名なのはEpiphoneのCasinoやRickenbacker 325なんだろうが、今日はちょっとマニアックな物を紹介しよう。
ス:いつものマエストロさんっぽくなってきましたね(笑)
マ:これだ!


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ス:わ、渋い! でもオレンジが鮮やかですね。
マ:GRETSCH 6120の1962年モデルだ。ジョンはこれの1964年製をPaperback Writerのレコーディングで使ったと言われているんだな。1966年のことだ。
ス:えぇっと、さっきの『赤盤』『青盤』に入ってます?
マ:うむ。『青盤』に入っているぞ。オリジナルは1966年5月にリリースされた12枚目のシングルだ。まぁ、実質的にはポール・マッカートニーが作った曲だと言われている。1966年と言えば、ビートルズが来日した年でもあるのだよ。武道館でも新曲として演奏されているな。

ス:へぇ、ライブでは使っていないんですね。
マ:うむ。ボディが大きいからライブだと取り回しづらかったのかもしれないな。それにこの時期のビートルズは、もうライブ活動よりもレコーディングでのクリエイティブ作業に気持ちが移っているんだよ。だからメンバー全員、スタジオでの実験に夢中になっていくんだ。そんな中でジョンもこのGRETSCH 6120を手にしたのかもしれないな。
ス:で、どんなギターなんですか? ちょっと弾かせてくださいよ。


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ス:アコギほどじゃないけど、やっぱりデカイですね。でもバランスは良いです。思ったほど重くないし。
マ:GibsonのES-335のような、センターブロックが入ったボディじゃないからな。中は空洞、いわゆるフルアコースティックボディだ。
ス:だからなのかな、甘い音も出せますね。


マ:もともとはチェット・アトキンスというカントリーの名手が使っていたギターだからな、それぞれの弦の音の分離が凄く良い。アコースティックギターに近いニュアンスもある。このFilterTronというピックアップもギブソンのハムバッキングとひと味違ってクリアだな。


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ス:2ピックアップなのに、なんだかいろいろスイッチやツマミが付いてますけど、これは?
マ:ボディに向かって左側にある2つのスイッチは、ピックアップの切り替え用とプリセット・トーンスイッチ。右側のカッタウェイ部分にあるノブはマスターボリューム。右下にある2つのノブはそれぞれのピックアップのボリューム。一番下にあるスイッチはスタンバイスイッチ。センターポジションで音が出なくなる。

そしてビブラートユニットのすぐ右にあるノブがちょっと面白いぞ、ミュートだ。
ス:ミュート?
マ:ブリッジとリアピックアップの間に黒くて細長い物があるだろう? これがミュート。ノブを倒すとこれが迫り上がって弦に触れるんだな。ちょっとやってみるぞ。



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マ:な? ミュートすると音色が変わるのがわかるだろう? カントリーギタリストらしいアイディアだな。あと裏側を見てごらん。
ス:なんだ? カバーが付いてる!
マ:そう、ベルトのバックルが当たって傷が付かないようにカバーが付いている。取り外すと、配線用の穴をふさぐ蓋が現れるってワケだ。
ス:へぇ、オシャレだなぁ。よく見たらボディのFホールもペイントなんですね。
マ:ハウリング防止のためなんだろうな。
ス:フェンダーやギブソン以外のギターを弾いたのは初めてだったから新鮮だなぁ。
マ:うむ。この音色もジョンの魂のひとつってわけだ。


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ス:ん? なんスか、それ?
マ:……ジョンのソロアルバムのタイトルだ(うまいこと言ったつもりだったが、伝わらなかったか……)。と、とにかくリマスター盤も出たことだし、特訓するから付いて来いっ!! 今日はジョン・レノンだけを聞き込むぞ!
ス:うわー、勘弁してくださいよー。

マエストロ竹下:クラッシックロック現役世代のギター好きオヤジ。50代に手が届きそうな今も、夜毎にギターをかき鳴らす日々。
スネイク君:ライブハウスを沸かす現役ロッカー。 彼がギターを弾くイカしたバンド、

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取材協力: 宮地楽器神田店

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