今回紹介するのは、可愛くて華奢な女の子が屈強な男達を片端からバッタバッタなぎ倒してゆく痛快なムエタイアクション。
特撮を排除して肉体を徹底的に酷使する本格アクションを観せてくれるのは、かの「マッハ!!!!!!」や「トム・ヤム・クン」でお馴染のプラッチャヤー・ピンゲーオ監督。本作でも可愛い女の子がワイヤーも特撮も無しで暴れまくるという、心躍るような映像をみせてくれる。
とにかく主人公の女の子「ゼン」を演じる「ジージャー」の可愛さと強さと言ったら!。映画を見終った後必ず誰かに「ジージャーちゃん可愛い、強い、スゴイ!」って言いふらしたくなる。それほどスゴイです。
まあ、タイ国映画ということで、基本バカ映画っぽいというか、主人公の「ゼン」は、タイのマフィアのボスの娼婦とその彼女を寝取った日本のヤクザの幹部の間にできた不貞の子で、パパは追い出されて日本に逃げ帰り、ママはなんと白血病を患っており、そして「ゼン(日本人との子だから「禅」からとった名前)」は自閉症という、もう漫画でもあり得ない、そんなヤツいるかよ!的な設定。
んでもって「ゼン」ちゃんスゲー華奢で可愛いんだけど、映画やテレビゲームのアクションを一回見ただけで、その動きや攻撃を覚えてしまうという才能の持ち主。もう監督やりたい放題、ツッコミどころ満載のシチュエーションで、映画はガンガン突き進む。
ストーリーも超シンプルで、ママの治療費や入院費を稼ぐため、「ゼン」は幼なじみと共に、ママがマフィア時代に金を貸した相手の所へ乗り込んでゆくのだが、まあ、マフィアのことだから子供に金なんか返さねえ訳。幼なじみをボコボコにして、悔しかったら取ってみな、と言う感じ。すると「ゼン」がブチ切れて、マフィアの連中をバッタバッタとなぎ倒して金を取り戻してゆくというのが大筋。
映画の7割が「ゼン」と大人たちの大立ち回りという構成もどうかと思うがしかし!一端バトルが始まったらアクションシーンの連続で飽きる間も無し。時々傷が増えてるだの服が違うだの、髪形が違ってるだののツッコミどころをぶっ飛ばすほど、スピーディで迫力のあるアクションがノンストップで続く。観客も思わず息を詰めちゃって、アクションの区切りで客席のあちこちから「はーぁ」っていうため息が聞こえてくるほど。
このジージャーちゃん、素人目にも「ホンモノ」と直感できる身のこなしと技のキレのよさが正に見どころ。ジャッキー・チェンの作品にインスパイアされたと思われる、椅子等を使ったコミカルなカンフー的アクションも堂に入って、映画の終盤には観客のほとんどがジージャーちゃんに眼がハートマーク必至。特に闘っている時の真剣な顔の可愛さったらありゃしない。鼻血だしても可愛い、傷だらけでなお可愛いという希有な存在。そんでもって半端ない強さ。世界最強の自閉症児(って、いいのかソレ?)。
「ゼン」のパパ役の阿部寛もオイシイ役どころ。さすがの「ゼン」も数多くの相手と戦い、体力の無さが露呈して息も絶え絶えになって、もうダメか!と言う時に、日本刀片手に単身、ワザワザ日本から駆けつけてマフィア相手にチャンバラかまして「ゼン」をイノチガケで守る。
その家族愛に思わず涙。
今までのピンゲーオ監督作品にはみられなかったドラマ性も盛り込んで、ラスト近く雑居ビルの壁で繰り広げられる壮絶な攻防戦は、特撮・CGでは決して描く事のできない、観るものに「痛さ」をリアルに体験させる超大活劇。お金をかけたハリウッド映画が薄っぺらに見えるほど、ジージャーちゃんの存在感と際立ったアクションが光る。
もう正直、映画のスジとか細かなところはどうでもいいでしょう!という気持ちになっちゃう、観てるだけで楽しくワクワクする快作だ。オトナのオジサンでも、ジージャーちゃんに、激萌えです(笑)。
チョコレート・ファイター(DVD)
監督:プラッチャヤー・ピンゲーオ/アクション:パンナー・リットグライ
脚本:ネパリー/チューキアット・サックヴィーラクン
出演:ジージャー/ヤーニン・ウィサミタナン /阿部寛 /ポンパット・ワチラバンジョン/ソム/アマラー・シリポン
配給:アスミック・エース エンタテインメント
ジャンル:洋画(タイ映画)
公式サイト:http://www.chocolatefighter.com/
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