前作『007 カジノ・ロワイヤル』に引き続き、ボンド役のダニエル・クレイグによる骨太のアクションが冴え渡る本作。
そのヤバさは前作のスケールをはるかに凌ぎ、カーチェイスやら逃走劇やら炎からの脱出シーンやら派手な撃ち合いやら頭脳戦やらセクシーシーンやらがふんだんに散りばめられている。ありとあらゆる見せ場が満載のそれは、まるで“映画のデパート”さながらだ。
愛する女を闇の組織に殺され、怒りと悲しみに震えていたジェームズ・ボンド。真相を暴くために彼女を操っていた男を尋問すると、巨大で危険な組織が浮かび上がってきた。捜査のためにハイチに飛んだボンドは、カミーユ(オルガ・キュリレンコ)という元諜報員と出会う。彼女もまた、幼い頃に家族を殺された復讐心に突き動かされていた。ボンドとカミーユ、2つの復讐心が出会ったそのとき、運命の歯車は回り始め…。
前作でのボンド役がダニエルと発表されたとき、そのキャスティングに対してファンから大いなるブーイングの嵐が巻き上がった。まだ作品が出来上がっていないにも関わらず、だ。だが公開と同時に、彼の確かな演技力、そして他の追随を許さないアクション能力によって批難は大いなる賛辞へと変わり、ダニエルの役者としての立ち位置が大きな飛躍を遂げたことは記憶に新しい。
その前作をまたもや凌駕するボンドを、彼は本作で見事に演じきっている。まるでスクリーンから彼の汗が飛んできそうなほどの生身のアクションは、観ていて鳥肌が立つようなのである。
敵役を演じるのは『潜水服は蝶の夢を見る』で映画ファンの心をつかんだマチュー・アマルリック。悪人と善人の見分けがつかない現代を風刺するようなキャスティングだ。
そう、本物の悪人というのは世界のすべてを欲しがるものだ。善と悪、どちらをも。だが善人と違い、彼らは途中までしかアタマが良くない。最後には悪が滅びてしまうという“真実”を知らないのだ。
っていうか、えっ?! これってR-18じゃないですよね…???
っていうシーンが一瞬あったように見えたのは、気のせい???
007 / 慰めの報酬 (Blu-ray)
ダニエル・クレイグ他、来日記者会見!
監督:マーク・フォースター
脚本:ポール・ハギス/ニール・パーヴィス/ロバート・ウェイド
出演:ダニエル・クレイグ /オルガ・キュリレンコ /マチュー・アマルリック/ジャンカルロ・ジャンニーニ/ジェフリー・ライト/ジェマ・アータートン/ジュディ・デンチ
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
ジャンル:洋画
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