トム・ハンクス、ジュリア・ロバーツ、フィリップ・シーモア・ホフマン。ハリウッドきっての名優たちが贈るのは、この上なく素晴らしい「奇蹟」の物語…それも、実話を基にした胸躍るような物語だ。
1980年。テキサスの下院議員チャーリー・ウィルソン(トム・ハンクス)が関心を持つのは、専ら酒と女。何よりも楽しく幸せに日々を生きることがモットーなのだ。とある日もいつものように、美女たちとともにジャグジーで寛いでいたチャーリーだったが、その目に飛び込んできたのは、ソ連に攻めこまれ苦境に立たされているアフガニスタンのニュース映像だった。愛国心あふれるチャーリーは、あることを心に決める。それは「史上最大の極秘作戦」の幕開けだった…。
喉が渇いている者には水を与えるだけでなく、井戸の掘り方を教えて自分自身の力で水を飲めるように知恵を授けることが最大の施しであるといわれる。国力を高めるために教育が大切であるとこはいうまでもない。一頃我が国を席捲した“ゆとり教育”なるものが影を潜めてきたのは当然といえば当然の結果だ。あのまま行けば、他者から水をもらうことしかできぬ輩でこの国は溢れかえり、井戸の水もそのうち涸れ果ててしまっただろう。
『フォレストガンプ』然り、『プライベート・ライアン』然り、『キャスト・アウェイ』然り、『ビッグ』然り、『グリーンマイル』然り。実直で誠実で、決して諦めない男を完璧に演じ上げるトム・ハンクスが、本作でも破天荒で朗らかで陽気で、けれども志はとてつもなく高く、そしてトンデモナイ無茶をしでかすのだが決して憎めないという、まさにこれこそトム・ハンクス! という役どころを演じる。「こんなに上手く行くワケがない」と疑ってしまうほどのストーリー展開でさえ、彼が演じることで妙に説得力が増すのだ。しかも、ハンクスは本作で製作にも加わっている身の入れようだ。
惜しむらくは、敵国ソ連兵士の描き方。あんなこと言わないだろうってな勢いの、そんな台詞まわし。かえってソ連兵が気の毒に思えてしまったのだが。
…と、そんな瑣末なことはどうでもいい。信じて突き進めば願いは叶うというゴールデンストーリーが、またひとつここに誕生した。ゴールデングローブ賞5部門にもノミネートされた本作は、間違いなく清々しい気持ちになれる逸品である。
チャーリー・ウィルソンズ・ウォー(DVD)
チャーリー・ウィルソンズ・ウォー(文庫)
原作:ジョージ・クライル『チャーリー・ウィルソンズ・ウォー』
監督:マイク・ニコルズ
出演:トム・ハンクス /ジュリア・ロバーツ /フィリップ・シーモア
配給:東宝東和
ジャンル:洋画
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