この映画でこんなふうに誇張して描かれている、究極の能率主義。だが、リモコンを持っていない我々も、往々にして似たような時間の使い方をしてはいないか。確かに、仕事は人生で大切な要素のひとつだ。優先順位で仕事を第一にするのも、特段悪いことではない。むしろ勤労意欲あふれる働き者として、推奨され賞賛されることでもある。それをよしとしている家族も少なくはないだろう。
だが、問題はそのバランスだ。仕事を大切にするあまり、家族関係を蔑ろにすることへの警告を本作は示唆している。仕事をするな、と言っているのではない。自分の与えられた職業に一生懸命従事することは何らの悪ではなく、むしろ大いなる善だ。
だが、その一生懸命さのあまり他者との心のふれあいを切り捨ててしまうなど、なんと愚かなことか。仕事を通じて他者に愛を還元することこそが真の仕事の使命であるはずなのに、いつの間にか業務を遂行するこだけを念頭に置いている自分がいる。気がつけば、そこに愛などあるはずもなく…。そんなときに、家族や友人という存在が忘れていた愛を教えてくれ、疲れた自分を癒してくれるのだ。
素晴らしい仕事のためには、周囲との愛あふれる関係が不可欠なのである。
もしも昨日が選べたら(Blu-ray)
監督:フランク・コラチ
出演:アダム・サンドラー/ケイト・ベッキンセール/クリストファー・ウォーケン
ジャンル:洋画
公式サイト:http://bd-dvd.sonypictures.jp/click/index.html