農業危機によって崩壊寸前の近未来。「必ず帰ってくる」……娘にそう告げ、父は人類の住処を探しに宇宙へと飛び立った――。
久々にスケールの大きい映画を観た。ただ単に舞台が広いというだけでなく、ただ単に長い時系列の中を動いているというだけでなく、ヒューマンドラマあり、ミステリーあり、思わぬどんでん返しありで、とにかくデカいのだ。
映像面では、『ゼロ・グラビティ』を楽勝で超えただろう。ゼログラももちろんダメな作品では決してないのだが、あまりにも映像が完成されすぎて、綺麗すぎて、まるで動く絵を観ているような感覚だった。
本作はゼログラとはまったく趣を異にしている。デジタルではなくフィルムにこだわり、CGはほとんど使わず、よりリアルに、より人間的に撮られた作品なのだ。製作陣にも名を連ねている理論物理学者キップ・ソーンのアドバイスをもとに構築されたディテールは、まさに「本物」を想起させる。否、実際に宇宙を肉眼で間近に見たことなどないのだが、とにかく本物っぽいのだ。登場人物たちの目とともに、自分も宇宙に一緒に旅立っているような錯覚を覚えざるを得ない。
父親役はマシュー・マコノヒー。ブルーカラー風というかカウボーイ風というか、とにかくホワイトカラーの風貌ではない。それがまた、本作の「現実感」に一役買っている。マコノヒーは、かつて同ジャンルのSF作『コンタクト』でも重要な役割を演じている。SF映画のカテゴリでのイチバンは個人的にこの『コンタクト』だったこともあり、そこからの本作ということで感慨無量だ。
この映画を形容するにあたり、他作品のタイトルを挙げることは容易い。実際に、「○○と△△と□□を足して数倍したのが本作」と言ってしまいたい衝動にも駆られる。だが、それはネタバレにも繋がってしまうので避けるべきだ。予告編にしても、なるべくなら観ないことをお薦めする。前知識なしに、壮大なスケール感に圧倒されてほしいのだ。
とは言え、この作品名だけは挙げさせてほしい。本作の凄さは、あのマスターピース『2001年宇宙の旅』をも超えただろうか? 「暴言だ」と揶揄されるかもしれないが、個人的には「超えた」と言ってしまいたい。試写のみならず、劇場に何度も足を運んで観たいと思えた大傑作だ。
監督:クリストファー・ノーラン(『インセプション』『ダークナイト』『メメント』)
脚本:ジョナサン・ノーラン、クリストファー・ノーラン
出演:マシュー・マコノヒー、アン・ハサウェイ、ジェシカ・チャステイン、ビル・アーウィン、エレン・バースティン、マイケル・ケイン
配給:ワーナー・ブラザース映画
公開:2014年11月22日(土)新宿ピカデリー他全国ロードショー
公式サイト:www.interstellar-movie.jp
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