突然の事故、家族の死、そして瀕死の自分…17歳の少女が選ぶのは、生か、それとも死か? 恋人と青春を生き、友人・家族の愛を受け、溢れる才能を持ち、将来を有望視された彼女に迫られた過酷な選択。世界34ヶ国で愛されているベストセラー小説「ミアの選択」を原作に、『キック・アス』でブレイクし、その後様々な話題作で着実に実力派女優への階段を駆け上がっているクロエ・グレース・モレッツが主人公のミア役を熱演。丁寧に描かれたひとつひとつのエピソードが、観る者の胸を打つ感動作。
派手な性格ではないながらも、静かで幸せな青春を謳歌している高校3年生のミア。何でも言える親友、地元で大人気のバンドマンの彼、そして最愛の両親と弟に囲まれて暮らしている。チェロ奏者になりたいという将来の夢を叶えるべく、ジュリアード音楽院入学を目指して日々、猛特訓に励んでいる。そんなミアをある朝、突然の悲劇が襲う……。
『キック・アス』の幼くも勇ましいヒットガールで世の映画ファンを虜にし、『モールス』、『キャリー』と着実に大人の女優への階段を上っていっているクロエ・グレース・モレッツ。この後の公開作『イコライザー』では娼婦役に扮しており、演技力の幅が相当広いことを窺わせるが、彼女が本作で挑むのは、そうした出演作のように特殊な役柄ではなく、進路や恋愛といった人並みの悩みを抱えた、どこにでもいるごくごく普通の女の子。
だがただ一点、普通の女の子違う点が彼女にはある。それは、自分自身が生死の境を彷徨っているという点だ。ネタバレは極力避けたいので明言はしないが、彼女のその状態の描写がとても自然で、なんの疑問もなくすんなり受け入れられる作りになっている。これは特筆すべき点だ。実際に起きて欲しくはないことだが…もし我々が彼女のような状態になったとしたら、似たような感覚を「体験」するのだろう。元々の原作がそう書かれてはいるのだろうが、それを映像に起こしてもなお、不自然さというものが全く感じられない。事故後の様々な回想シーンに観客を没頭させるためにも、ここは大変重要なポイントであり、それに成功している製作陣にまずは拍手を送りたい。
ミアに訪れている絶望的な悲劇と、彼女のそれまでの人生に訪れた数々の輝ける瞬間。その対比が、その落差が激しすぎて、観ているこちらも何度も何度も胸が張り裂けそうになる。大切なものをたくさん失った今、「あちら側の世界」は美しく、平穏で、心安らぎそうで、いっそ逝ってしまったほうがどれだけ「楽」になれるだろう。だけど、だけど…。
残念なのは、ラストだ。途中あれだけ丁寧に丁寧にミアや恋人や友人家族との関係を綴って見せてくれたのだから、あれだけは本当に無念だ。あそこだけなんとかなっていれば、パーフェクトといっても過言ではない傑作だったのに。
原作:『ミアの選択』(ゲイル・フォアマン・著、三辺律子・訳、小学館刊)
監督:R・J・カトラー
脚本: アリソン・グリーンスパン
出演:クロエ・グレース・モレッツ、ミレイユ・イーノス、ジョシュア・レナード、ジェイミー・ブラックリー、ステイシー・キーチ
配給:ワーナー・ブラザース映画
公開:10月11日(土)公開 新宿バルト9、梅田ブルク7、他ロードショー
公式サイト:http://wwws.warnerbros.co.jp/ifistay/
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