『アベンジャーズ』のマーベル・スタジオが放つ、とびきりのSFアクションコメディ超大作がいよいよ日本上陸! 凶暴なアライグマ、喋って動く木、緑の肌のオンナ、ハゲでコワモテの筋肉おっさん、見た目だけはイケメンのプレイボーイ……ヒーローもののテンプレからはかけ離れた癖のある面々が、ギャラクシー(宇宙)の守り人(ガーディアンズ)として八面六臂の大活躍! 本国アメリカでも多方面から高評価を受け、全世界興行収入も記録を更新中。すでに続編も決定している大注目作なのだ。
9歳のときに母を亡くした少年、ピーター。何者かに地球外へとさらわれてしまったが、なんだかんだすっ飛ばして20年後、立派(?)なトレジャー・ハンターになった彼。今日もカネのため、ヤバい現場でヤバい代物を盗み出す。だが、怪しい球体のそれは、銀河を滅ぼす力を持つパワーストーンだったのだ……。
一筋縄ではいかない登場人物たちだが、まずキャラが各々とてもよく立っている。コメディ要素も本作を形作る重要ポイントだが、イチイチ絶妙な小ネタをこのキャラたちが素知らぬ顔でやってくれる。それがあざとくなく、日本人が観ても自然で、ときにはクスッと、ときにはニヤニヤ、ときには爆笑をかましてくれるのだ。ちなみに緑姉さんは『アバター』でヒロインを演じたゾーイ・サルダナ。今回は原形を保っている。
全編に流れる70年代のヒットソングたちもまた重要な要素だ。しかも、その音楽が入っている媒体はカセットテープ。今どきカセットテープですぜ旦那。しかもそれはミックステープというもので、好きな曲を集めて1本のテープにダビングしたもの。当時、CDもMP3もなかったあの時代には、みんなそうやって好きな音楽を自室だったりデートだったりで聴いていた、アレだ。およそ近未来のSFものには似つかわしくなさそうに思えるが、だからこそ、人間味あふれるキャラたちの個性が際立ち、ストーリーにも真実味が出てくることに一役買っている。アナ雪の手法を真似たのかどうかは推し量るほかないが、アナ雪同様、音楽の力が観客の心をわしづかみにしている。こりゃサントラも売れるでしょ、きっと。
ストーリーは取り立てて複雑でもないでもないのだが、この手のジャンルにそんな小細工は不要だということを潔く証明してくれている。本作はいわゆる王道なのであって、穿った見方なんかは最初から必要ない。強いて言えば冒頭のすっ飛ばしと、クライマックスのあのシーンの説明がまったくないことが残念なぐらいか。だがまあ、このあたりは最初から続編で徐々に描くつもりでいるのだろう。疑問が残っても許容範囲だ。奇をてらわないこの王道ストーリーは、私ですらまんまと泣かせてしまったのだから。
『アイアンマン』も『ダークナイト』も主人公は裕福なシャチョさんだったから、共感というよりは遠い存在の憧れの念を抱かせるタイプ。だが、本作のキャラたちは完全なる底辺、真のダメ人間たち。だからこそ、彼らにより共感し、より親近感を抱いてしまうのだ。ディズニーのアナ雪は、コンプレックスを持つ女王に観客たちが自らを投影して大ヒットをもたらした。本作もまた、配給はディズニー。70年代音楽によってその世代を多く動員し、本編内容で劣等生キャラに共感する観客を多数生み出し、恐らく日本でも大ヒットすることだろう。
監督:ジェームズ・ガン
脚本: ジェームズ・ガン、ニコール・パールマン
出演(含:声の出演):クリス・プラット、ゾーイ・サルダナ、デイヴ・バウティスタ、ヴィン・ディーゼル、ブラッドリー・クーパー、ベニチオ・デル・トロ
配給: ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン
公開: 9月13日(土) 2D/3D&IMAX 3Dロードショー
公式サイト:marvel-japan.jp/gog
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