アメリカン・ハッスル

20140124cpicm.jpg汚職政治家を捕まえるためにFBIが捜査協力を依頼したのは、なんと天才詐欺師! そしてなんと、奇想天外なこのストーリーは、まさかの実話。キャストには、『ダークナイト 』のクリスチャン・ベイル、「ハングオーバー! 」シリーズのブラッドリー・クーパー、『アベンジャーズ 』のジェレミー・レナー、『マン・オブ・スティール 』のエイミー・アダムス、「ハンガー・ゲーム 」シリーズのジェニファー・ローレンスといった堂々の顔ぶれが、今までの役を微塵も感じさせない出で立ちで勢ぞろい。本国の各賞を総なめにし、また本年度ゴールデングローブ賞にも最多ノミネートで、早くも2014年アカデミー賞の大本命と噂される本作。笑いあり涙あり、誰が勝つのかのどんでん返しに次ぐどんでん返しで、ユーモア増し増しの華麗なるエンタテインメント作だ。

20140124cpic1.jpg天才詐欺師アーヴィン(クリスチャン・ベイル)と、彼のビジネス・パートナーであり愛人でもあるシドニー(エイミー・アダムス)。完全犯罪を続けてきた彼らだったが、ついにFBIの罠にはまり、お縄を頂戴する羽目に。だが、独房に入れられた彼らに捜査官は取引を持ちかけた。仲間を何人か売れば無罪放免にしてやる、と。自らの身を守るために渋々と条件を飲んだ彼らだったが……。

日本語タイトルは、原題の『American Hustle』をストレートに訳したもの。ここでいう「ハッスル」とは「詐欺」の意だ。詐欺師コンビが主役だけに、予想だにしない展開が次から次へと待ち受けている。だが、ただのジェットコースタームービーだけに終わらずに済んだのは、一筋縄ではいかない個性的なキャラたちの心理描写、人間ドラマをカッチリ描きあげているからだ。本作でメガホンを取ったのは、『ザ・ファイター』『世界にひとつのプレイブック』でいくつものアカデミー賞ノミネートを受けた実力派、デヴィッド・O・ラッセル監督。冒頭の髪型のつかみや緊張感あふれるやり取りといい、さすがは観客の心のなんたるかを心得ておられる。クリスチャン・ベイルに見えないクリスチャン・ベイル、「違う自分を生きたい」と頭キレッキレかつエロが武器のエイミー・アダムス、誠実そのもので飾りっ気のない政治家のジェレミー・レナー。かな〜りヤバめにイッちゃってるブラッドリー・クーパー、ダメダメ専業主婦っぷりを遺憾なく発揮しているジェニファー・ローレンス。マフィア役のロバート・デ・ニーロの怖さも見もの。第19回放送映画批評家協会賞で最多となる13ノミネーションを獲得したというのも、おおいに頷ける話だ。

人間の感情の機微を描かせたら天下一品の監督による、詐欺師たちの物語。クライム映画の枠に納まることなく、人間にとって大切なものは何かということをも示唆してくれる逸品だ。


監督:デヴィッド・O・ラッセル
脚本:エリック・ウォーレン・シンガー、デヴィッド・O・ラッセル
出演:クリスチャン・ベイル、ブラッドリー・クーパー、エイミー・アダムス、ジェレミー・レナー、ジェニファー・ローレンス
配給:ファントム・フィルム
公開:1月31日(金)よりTOHOシネマズみゆき座他ロードショー
公式HP:http://american-hustle.jp
 

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