緻密に計算しつくされた計画のもと、様々なハイテク小道具を使いこなし、困難なミッションを遂げる本シリーズ。だが、本作はそんな今までのシリーズとは設定が異なる。イーサン(トム・クルーズ)は組織という後ろ盾を失くし、小道具はイマイチ使いこなせない完成度のものばかり、そして計画は上手くいかず、すべてがグタグタ。だがミッションは今まで同様に困難を極める。だからこそ肉体を駆使し、アナログ的に戦うからこそかえって際立ってくるエンタメ性が、より輝きを増している。
何者かによって爆破されたロシアのクレムリン。その容疑がIMF(米国極秘諜報機関)のエージェント、イーサンとそのチームにかけられる。政府が事件に関与した疑いを避けるべく、米政府は「ゴースト・プロトコル(架空任務)」を発令し、IMFの存在そのものを抹消。凶悪テロリストの汚名を晴らすべく、爆破の黒幕を突き止めて核テロを未然に防ぐというミッションは、孤立無援のイーサンたちにとって過酷なものだったが……。
ロサンゼルス、モスクワ、プラハ、ドバイ、ムンバイ、バンクーバーと世界を股にかけながら本作は進む。トムは全編に渡りスタントマンなしで撮影に挑んだが、とりわけ凄まじいのがドバイの超高層ビル“ブルジュ・ハリファ”の外壁でのシーン。20歳の若者がやったとしても驚くようなスタントだが、トムの年齢は49歳なのだから、もう脱帽以外の何物でもない。
特筆したいのは本作初参戦のジェレミー・レナー(『ハート・ロッカー 』、『ザ・タウン』)。トムの相棒のひとりとして、そして秘密めいた過去を隠す分析官として、本作にドラマ性を与える重要な役柄だ。
彼の軍服姿やワルっぽい衣装ももちろんサマになるのだが、ホワイトカラー族としてスーツを着こなしている彼のカッコよさといったらない。身長もトムと大差ないところなので、その点でも適役だったのだろう。
他にも、『M:i:III』で天才ハッカー役だったサイモン・ペッグが現場へ昇進してふんだんなユーモアを加えるほか、今回の美人キャラとしては『デジャヴ 』のポーラ・パットン、『イングロリアス・バスターズ 』『ロビン・フッド 』『ルルドの泉で』のレア・セドゥー、『スラムドッグ$ミリオネア』の司会者役のアニル・カプール、『エネミー・ライン 』のウラジミール・マシコフと、国際色豊かな面々が揃う。
監督はあの超名作『Mr. インクレディブル 』のブラッド・バード。アニメーション作品で評価されてきた彼は本作が初の実写作品。ドバイでの気候特性を生かしながらのストーリー展開の中、文字通り手に汗握るアクションシーンを飽きさせないカメラワークで追い、また、ストーリーもある程度込み入りながら、かつ大人から子供まで誰が観ても楽しめるよう、難解すぎない線も心得ている。
このバランス感覚が大変素晴らしく、これこそがハリウッド映画といえる娯楽大作。ぜひ、家族みんなで、大スクリーンで鑑賞されたい。
製作:J.J.エイブラムス、ブライアン・バーク
製作・主演:トム・クルーズ
監督 ブラッド・バード
脚本:ジョシュ・アッペルバウム、アンドレ・ネメック
出演:ジェレミー・レナー/サイモン・ペッグ/ポーラ・パットン
配給:パラマウント ピクチャーズ ジャパン
公開:12月16日(金)、TOHOシネマズ 日劇他 全国超拡大ロードショー
公式HP:www.mi-gp.jp
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