東京公園

tokyo_park_mains.jpgサッド ヴァケイション 』以来、実に4年ぶりとなる、青山真治監督の長編最新作『東京公園』。三浦春馬、榮倉奈々、小西真奈美、井川遥という豪華出演者を迎えて織り上げた、純度の高い愛の物語である。

東京の公園で、家族写真を撮り続ける大学生の光司(三浦春馬)は、幼いころに亡くした母の影響でカメラマンを目指していた。ある日ひとりの男性から「彼女を尾行して、写真を撮ってほしい」と頼まれる。光司は理由もわからないままに依頼を受けるが、このことをきっかけに自分自身と、そしてそばにいる女性たちと向き合うことになる。
一緒にいることが自然だった、幼馴染みの富永(榮倉奈々)。やさしく力強く支えてくれる、親の再婚で義理の姉となった美咲(小西真奈美)。そして、記憶の中の誰かに似ているファインダー越しの女性(井川遥)。光司の視線が3人の女性をまっすぐ見つめる時、彼自身もまた変わりはじめていく……。

tokyo-park_sub01_02.jpg tokyo-park_posters.jpg 愛のかたちってひとつじゃないんだなと感じさせる、そんな作品に仕上がっている本作。“燃え上がる愛”というものではなく、もっと大きくて静かな愛――。ひとりの男子が大人へと成長する過程を切り取った、爽やかなラブストーリー。
光司が尾行をし、写真を撮り続ける謎の女性に彼が投影しているものとは? 男性なら誰しも避けては通れないその思い、そしてそこからの成長。いつもそばにいるふたりの女性、富永と美咲。そばにいるからこそ気づくことのできなかった、自身の心の奥底にあるその思いを、ある出来事をきっかけに見つめる事になる。交錯する人々の思い、そして彼が気づいた本当の気持ち。お互いが気持ちを受け止めたとき、新らしい未来が動きだす。とても清々しい気分になれる物語である。
脇を固める男性陣は三人。親友に染谷将太、依頼主の歯医者に高橋洋、ゲイのマスターに宇梶剛士。特に染谷将太は重要な役を演じています。
全編ラブストーリーですが、ギャグの要素も結構ちりばめられていて笑いどころ満載。特に富永の“ゾンビ映画マニア”なシーンは要チェック! 劇中劇『吸血ゾンビの群れ』は笑えます。『ゾンゲリア』はゾンビ映画の傑作です!

とても静かな時の流れの中のラブストーリーなので、三浦春馬ファンにはたまらない作品でしょう。
劇場を出る時には心が温かくなってますよ、きっと……。

■おまけ
カメラマンを目指している役の三浦春馬ですが、シャッターを切る時にそこまで脇を閉めなくても!ってくらい閉めています。彼の使っている“CONTAX167MT”は懐かしいカメラ!
1987年2月に発売され、当時ヤシカの技術の集大成と言えるもので、定価は10万円ほどだったと思います。

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原作:小路幸也『東京公園 』(新潮文庫)
監督:青山真治
脚本:青山真治、内田雅章、合田典彦
出演:三浦春馬/榮倉奈々/小西真奈美/井川遥
配給:ショウゲート
公開:6月18日(土)より、新宿バルト9ほか全国ロードショー
公式HP:http://www.tokyo-park.jp

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