2007年に韓国でウェブ連載され、3600万もの閲覧数となった漫画作品が本作の原作だ。このモンスター作品を、『シルミド/SILMIDO』等を手掛けた カン・ウソクが実写映画化。先の東京国際映画祭での上映でも大絶賛された異色のミステリーが、いよいよ全国公開となる。
父の訃報を受け、青年はソウルから山奥の村へとやってきた。20年も会っていなかった父とはいえ、村人は父の本当の死因すら教えてくれない。不審に思った青年はこの村にとどまることにするが、村人は全員が全員、青年に何かを隠していた……。
青年役を演じるのは『殺人の追憶』で容疑者役を演じ、強烈な印象で大ブレイクを果たしたパク・ヘイル。童顔で優しい顔立ちが、奇妙な村の真相に迫るうちに刻々と変化する心中の動きを絶妙に表す。撮影中は新型インフルエンザで高熱を出したり、泥中のシーンを演じた際に細菌感染して皮膚病になったりと散々だったらしい。だがその大変な状況での撮影が功を奏したのか、作品全体に漂う不穏な空気感を身をもって体現することに成功している。まさに役者根性ここに極まれり、だ。
韓流によくありがちな「はぁ?」な描写もほぼなく、比較的スムースに話の流れに入り込むことができる点は評価に値する。
ただ、クライマックスで少しそのケがあったのは、それまでの流れが自然だっただけに非常に残念。せっかく他が緻密に作られているのだから、あれだってなんとかなりそうなのだが……というのは傍から見てるから言えるだけで、実際に作りあげる立場からしたらなかなかあれ以上のことは思いつかないものなのだろう。
逆に、韓流だからこそ出せる感情の異常なまでの起伏を、コミカルな演技を得意とするユ・ヘジンが怪演。ただでさえ不可解なこの村で、さらに異様な雰囲気をスクリーンに充満させてくれる。
本国の韓国でも各映画賞を軒並み受賞するなど、ミステリー好きな御仁にとってはチェックしても決して損はない作品。ぜひ劇場でご覧いただきたい。
黒く濁る村(DVD)
黒く濁る村(単行本)
原作:ユン・テホ
監督:カン・ウソク
脚本:チョン・ジウ
出演:パク・ヘイル /チョン・ジェヨン /ユ・ジュンサン/ユ・ヘジン、ユソン/キム・サンホ/キム・ジュンベ/ホ・ジュノ
配給:CJ Entertainment Japan
ジャンル:洋画
公式サイト:http://kurokunigorumura.com/
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