『白夜行』の映画レビューを書いていて、「東野圭吾って読んだことないなぁ〜」なんて思っていましたが、ところがどっこい読んだ事がありました!! “タイトル買い”をして一気に読んでしまったので忘れてました(笑)。『パラドックス13』です!
3月13日13時13分13秒、ブラックホールによる影響で予想不可能な出来事「P-13現象」が13秒間発生するという。しかし、政府は国民にそのことを隠し、P-13現象の起こっている13秒の間、重大な事件や事故が起こらないように準備した。そんな事態を知るよしもなかった刑事・久我冬樹は、警視庁勤務でエリートの兄・誠哉とともに強盗犯を捕らえる捜査の真っ最中だった。その折り、冬樹のミスから誠哉が撃たれ、そして冬樹も……撃た……という瞬間にやってきた13時13分13秒、冬樹は誰もいなくなった東京で目覚める。わずかに生き残った人々とのサバイバル生活、そして「P-13現象」とはいったい——
SFが大好きな私には、これはこれは面白い物語だった。誰もいなくなった街から何かが起こる! なんて始まりは私の大好物です。SFってどことなく科学の辻褄合わせをしていかないといけないんですけど、本作はそこが実に面白いんですよね〜。辻褄が合わないと台無しになってしまうラストも、思わず「おっ、そう来ますか! なるほど〜」とつい言ってしまう。嬉しくなっちゃう展開です。
また、理想を語る優秀な兄・誠哉と劣等生の弟・冬樹、このふたりの対照的な関係も面白い。話が進むにつれ、最初はまさに優秀である兄がどことなくズレていく倫理観も考えさせられるものがあった。
「ひょっとしたら……」が、「やっぱりそうだったかぁ〜」になっていくストーリーは、ページを繰る手が止まらない、一気に読んでしまいたくなる一冊だ。
ところで、読みながら「これは映画化ありきの作品だなっ」と自分の中で勝手に特撮の方法などを想像しながら読んでしまいました。ソニー・ピクチャーズ・イメージワークスなら映像化可能だな! 期待しています。
作者名:東野 圭吾
ジャンル:SFミステリー
出版:毎日新聞社