第15回 ライヴレポート編(その2)BON JOVI 『The Circle Tour』――メーワク社長(笑)は超一流

前回の“勝手にライヴレポート”はいかかでした? 個人的にはちょっと書き足りない感があったので、今回も引き続き「BON JOVI」のライヴについて。ミュージシャン目線で書くつもり……だけど、どうなるかな(笑)。

さて、前回も書いた通り、今回のライヴ、俺は二日間とも観て来ました。席によっては本当に音が悪い東京ドーム。ステージからも遠いし、せめて武道館ぐらいのサイズで観たいけど、BON JOVIならではのビッグなショウはやっぱり格別! 二日間、思いっきり期待しながらドームに通って、楽しんで来ましたよ。音は悪かったけど、それでも楽しめました!

二日目開演前_03.jpg  でね、二日間通ったのは俺が大ファンだから、ということだけじゃなく、BON JOVIは二日連続ライヴをやるとなると、セットリストの半分が入れ替わったりするんです。これって嬉しいでしょう? 定番の曲だけでなく、ニューアルバムの曲が全部聴けるぐらい、ガラッと変わる。こういうことって大きなバンドになればなるほど珍しく、普通は新曲を2-3曲に、他は定番の曲を中心に20曲とかね。これがまあ無難というか、大勢のファンを納得させるにはその方法がいちばんなんだろうけど、BON JOVIは違う。それを期待してるから毎回何度も観に行っちゃうんだけど、今回は3曲ぐらいしか入れ替えなし……。まあ、今回は二日きりのライヴ。ライヴそのものは二日とも凄く良かったし、何万人ものファンを納得させるにはしょうがないんだろうなあ。……でも、正直残念だったぞう。

で、そのセットリストですが、BON JOVIの場合、当日の本番前、しかも直前にジョン・ボン・ジョヴィが決めています。これ、普通は有り得ない! BON JOVIクラスになると、楽器、PA(音響)、照明、映像を含めた特殊効果……と、おそらく100人単位のスタッフがライヴに関わっているはずで、そこまで大規模になると、普通はメンバーに舞台監督、プロデューサーとで綿密に練り上げて、リハーサルを繰り返し、タイムテーブルを作り、それに沿って当日に臨むはずなんですよ。言うまでもなく、そうしないとスムーズに進行しないから。俺がプロのバンドのサポートをするときも、“ゲネプロ”という、ライヴの頭からアンコールまでを想定した通しリハをやって、照明やPAの音響チェック、楽器交換のタイミングなんかのチェックを行なうんですね。場合によっては、衣装の交換や、この一言を言ったら曲を始める、とかの演出も練習します。

ステージ全景_03.jpg 
ギタリスト目線で言えば、サウンドやチューニングに合わせて、1曲目-3曲目はこのギターを使って、4曲目はアコギ、5曲目はまた別のギター……なんてことを、楽器スタッフとそれはそれは入念にチェック&リハーサルします。そうしておかないと、変な間が空いてしまったり、チューニングの違うギターを渡されたり、なんて問題が起こったりするんですね。

今回のライヴでも、ギタリストのリッチーは頻繁にギターを替えていたけど、焦ってるようなシーンは一度も見受けられず。もちろん一流のスタッフが付いているんだろうけど、直前に決まるセットリストに合わせて、それをやることがいかに大変なことか! 照明だって、スクリーンに映る映像だって、曲に合わせて変えるわけですよ。いくら一流のスタッフでも、ほんとに迷惑……いや、スリリングな毎日を過ごしているんじゃないだろうか、といらん心配をしてしまう小規模なバンドをやってる俺でした。

さて、いまさら書くまでもなく、BON JOVIはワールドクラスの超一流バンド。でも、ジョンの歌に関して言うと、もっとうまい人もいるよね。特に今回は、喉の調子が悪かったのか高音がキツそうでした。それでも、あの個性的な歌声、フロントマンとしてのカリスマ性は文句なしに超一流。何万人もの観客の注目を一身に集め、ショウを引っ張っていく力は今回もやっぱり凄かった! ……俺、なんでこんなにジョンのことが好きなんだろう?(笑)

BonJovi11_03.jpg  そのジョンは今、マネージメントの社長もやってるんだけど、それ以前から「日本はそのころ野球のシーズンだろ? ドームを押さえにくいんだ」なんてことを言ってたり、ちょっと他のアーティストとは違ってた。ファンのことを考えつつ、ビジネスマンとしての視点もある。まあ、今回は野球が終わってるのに平日の二日間だけだったけど(笑)。ジョンのことをビジネスマンだ、とか批判する人もいるけど、社長の仕事をこなしつつ、常に質の高い楽曲を書き、毎晩素晴らしいライヴをする……文句ないでしょ? ライヴ最後のジョンの笑顔、あれはビジネスマンの作り笑いじゃない。そうだったらあんなにグッと来ないよ。

まだBON JOVIのライヴを未体験のみなさん! ぜひ一度、騙されたと思ってライヴに行ってください。そしたらきっと、俺の言うことが信じられるはず。そしてジョンの笑顔が見たくて、またライヴに足を運ぶはずだよ!

※公式ツイッター(http://twitter.com/bonjovi_jp)にて、
プロ仕様のカメラでなければ撮影OKの確認済み