スポーツにて勝敗を競うとき、たとえばポイント制の競技であっても、またタイム制の競技でも、それは0を起点に数字が増えたり減ったりすることで、その優劣を決める。マラソンだったらドーンとスタートして0秒からタイムを刻み、それでいちばん早かった人が勝ち。野球だったら0−0の状態から多く点を取ったほうが勝ち。これがゴルフだと0(パー)からマイナス方向にいちばん数が多い人が勝ちであり、また、ラグビーのようにワントライで5点入るような競技でも、勝敗は当然ながら1点刻みで決まる。 このように、ほとんどのスポーツが0から1、そして2へと数字が刻まれつつ展開していくわけだが、ほぼ唯一の例外と言えるメジャースポーツがある。なんでしょう。そう、それはテニス(硬式)である。
テニスの勝敗は「4ポイント先取で1ゲーム→6ゲーム先取で1セット→3セット先取で勝利」。
4大メジャーでは唯一、クレーコートの全仏オープン。
フランスなのでここではポイントカウントもフランス語になる
これが主な大会の基本となるが、この最初の4ポイントの数え方はごぞんじの通り0→15→30→40→60。4ポイント先取なのだから0→1→2→3→4でよさそうなものなのに、なぜこんな面倒なポイント設定になっているのだろうか。
その答えは、フランスに関係ある。もともとテニスは、フランスを発祥とする現在のスカッシュのような競技(「ラ・ソウル」などの名前が見受けられる)が発展してイギリスにて成立するのだが、その競技のポイント設定が、フランスが当時通貨等にも適用していた六十進法を採用してたことから、60に達する4ポイント、すなわち、0→15→30→45→60……となるものだったのだ。現代テニスはそれを受け継いだわけである。なお、日本発祥とされているソフトテニス(軟式)は、1ゲーム4ポイント先取で0→1→2→3→4と数えることを補足しておく。
……さてそうなると、ここで当然の疑問。当初、3ポイント目は「45」だったのが、なぜ現代テニスでは「45」ではなく「40」になったのだろうか。
これには諸説あるのだが、最有力とされている説にはとてもとても深い理由が隠されていた。
「テニスのポイントは0(ラブ。ちなみにフランス語で卵が語源)から英語でフィフティーン→サーティ→……とカウントする。その際に、“フォーティファイブ”と言うのは長い気がするから“フォーティ”でいいか、と」
つまりこれ、「面倒だから40でいいや」って話なのである。おいおいおい。