和歌山・熊野古道を行く夫とその自転車仲間に誘われて、大阪府泉南市から和歌山へ冬のサイクリングに出かけた。
「和歌山って山だよね。きつい坂ある?」
「だいじょうぶやて。おれがいつも走ってるコースやし」(それってきつくない証明になってないけど?)
ほどなく山道に入る。
「やっぱり坂あるじゃんかー」
「こんなんたいしたことないでエ♪」(それは認識の違い)
途中、"熊野古道"の看板を見つける。
熊の鼓動が聞こえる、なんちゃって。ダジャレを思いついたら坂がきつくなった。不思議なこともあるものだ。
登りきったら下り坂。実は冬場は登りの方が快適。体がぽかぽかあったまる。逆に、下り坂は気をつけないと強烈に体が冷える。
びょおおおおおおおおおお
風が体を突き抜ける。
ばさばさばさばさっ
風がウインドブレーカーをたたく。
「さぶいよう〜」
やっと平地に出た。田んぼや畑、ときどき民家。
「もう坂ないよね?」
「ここからは川沿いの道だから、ずっと平らだよ」
「そうか、よかった♪」
しかし、冬の川沿いの道は山道よりも過酷なことを、このときはまだ知らなかった。
紀ノ川と、貴志川。
そう、川沿いの道は、遮蔽物というものがまるでない。
しかもなぜ向かい風なんだ!
ぶわおおおおおおおおお
体が押し戻される。ペダルを漕いでもまるで進めない。寒い。寒すぎる。グローブをはめた手がかじかむ。
和歌山電鉄貴志駅に到着
たま駅長。いまは執行役員(笑)に昇格
たま電車にはしゃぐ旅人みんなはずいぶん先に行ってしまった。
うう、ひとりレベルが違うんだもん。ついてこなければよかった。
足に力が入らない。理由はわかっている。燃料切れ、つまりおなかがすいたのだ。
「ねえ、お昼まだ??」やっと追いついて聞く。
「もうすぐ貴志駅や。たま駅長に会えるで」
えっ? あのローカル線、貴志川線貴志駅の、猫のたま駅長?
やったー。なにしろ私は前世が猫だったのかっていうくらい無類の猫好き。ペダルが心なしか軽く感じ始めた。(たま駅長、このたびは執行役員就任おめでとうございます)
貴志駅のたま駅長にご対面。さすが管理職、観光客からの握手攻め・写真攻めにも愛想よく「にゃー」と応えていた。うにゃー、かわいい。
停車中のたま電車を見る。これもかわいい。外装のイラストもだが、中がまた凝ってる。思わずはしゃぐ(写真参照)。乗車するわけでもないのにね。でも運転士さんもにこやかだった。
「丸己」にてお食事。ドーンと630円!
美味処 丸己(まるみ)
0736-64-6626そのあとはお楽しみの昼食。知る人ぞ知る、激うま激安食堂「丸己」。
定食は630円。お刺身定食は7、8種類の盛り合わせ、エビフライ定食は長さ20センチ以上のでかい海老がなんと2匹、大きすぎて皿からはみ出ている。魚屋さんの経営している食堂だから、味も鮮度も保証つき。また平日の日替わり定食がものすごい。お造りだったら10種類、しかも、うにとか、あわびとか、そのときどきで豪華なものがつく。うに定食なら、うにがいわゆる「箱」で出てくる。うにっ!
今回はまぐろに天ぷら。うおーーーっ! ふんわりさくっと絶妙な揚げ具合!
「にゃーん、美味しいっ」とのどを鳴らす。今日はついてきてよかった?♪
前世が猫だけに、魚屋さんのネタには弱いのだ。