【真冬は温泉】冬の露天水風呂――フィンランドの寒中水泳

ヨーグルトのCMがフィンランドの健康維持法を紹介している。サウナで体を温めた後、雪の上に寝転がるというものだ。このCMを見せると、フィンランド人はさっそく舌打ちをした。雪の上に寝転がる? ちっちっちっ、そんなのはまだまだ甘いゼ。冬のフィンランドはやっぱりコレ、アバントウインティ(avantouinti、直訳すると「穴の中での水泳」という意味。英語ではice swimming、日本語では寒中水泳)。

寒中水泳と言えばなんだか儀式めいているが、フィンランドのアバントウインティはサウナ文化と結びついたウインタースポーツのひとつだ。まずは、サウナ小屋近くの湖表面に張った氷に穴を開ける。穴あけ専用の機械まであるのだから、なかなか気合が入っている。

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専用の器具で穴を開けます

そして80〜90度くらいのサウナでしっかりと体を温めた後、戸外へ走り出て、穴の中にじゃぼん。外気温は、例えばマイナス20度。氷の下の水温は0度前後。初体験者は、2、3秒つかることができれば充分だ。というわけで、水泳と言っても、実際に泳いでしまう人はほんのひと握りで、どちらかというと「つかる」感覚。スポーツというよりも、水風呂に近い。80度からマイナス20度、その差100度! 体中の汗はあっという間に凍り付く。


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できました、寒中水泳用の穴
始めてアバントウインティを見た時には、まず心臓発作が心配になった。もちろん、心臓の弱い人、子供、お年寄りには厳禁なのだが、健康な人ならば医者も勧める健康維持法だというのだ。ストレスや疲労感を軽減し、活力を湧き起こさせる。記憶力増進、気分がよくなりエネルギーが湧いてくるという効果も報告されている。実際、急激な温度変化によるある種のショック状態で、アドレナリンとエンドルフィンが脳内で分泌されハイな気分になる、という話も聞く。穴から這い上がる時のスリル感は、バンジージャンプ以上だった、と体験者談。医学的に本当かどうかはさておいて、どんより長くて厳しい冬の寒さをポジティブにとらえ利用してしまう意気込みは、なかなか素晴らしい。


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じゃぼんと浸かったら一目散でサウナに戻る

わざわざ穴を開けてまでは……という人のためには、アバントウインティ用の公共の穴(?)がある。大抵は森の中にあり、静寂と開放感が素晴らしい。夜に実行すれば、満点の空にはオーロラが輝いているかもしれない。まさに露天水風呂感覚だ。サウナから湖までは、必ず靴と帽子着用で。水温は0度でも、外気温はマイナス20度なのですから。


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