“自分で和髪を結い上げることで髪の文化と着物を着る習慣を次世代に繋げていこう”をコンセプトに、毎月第2土曜日に開催されている『自分結い 大江戸和髪隊 和髪研究会』。幅広い活動をみせる和髪隊のメンバー、島田史子さん、林良江さん、丸山和子さん、上籔洋子さんに和髪の魅力について話を聞いた。
島田:『自分結い 大江戸和髪隊 和髪研究会』の隊長をさせていただいています、島田史子と申します。普段はエステサロン『まゆ月』を開き、着物姿に割烹着を着て“和の美容家”として活動させていただいています。フェイシャルエステでみなさんが元気になるよう、カウンセリングも交えながら、心も軽くなって笑顔でお帰りいただけることをモットーにしています。お客様の着付けのお手伝いや着物の選び方、略例でのお茶の作法などをお教えすることもありますよ。
また、歌舞伎の世界に長く携っており、“和粋伝承人”として講演を行なったり、歌舞伎の面白話しや楽屋の裏話し、役者さんの一日の生活振りや使用するお化粧道具なども紹介しています。また「歌舞伎を観劇するための着物」をテーマに、生活マガジン『花SAKU』で執筆活動もしており、歌舞伎は敷居が高いと思われている方でも「一度は歌舞伎を観てみたいな」と思っていただけるよう努力しています。
林:『自分結い 大江戸和髪隊 和髪研究会』の事務局長をさせていただいています、林良江と申します。「和の創造は限りなく美しい」をテーマに、未来にそして世界に広めたいという願いをこめ、礼法や着付けを取り入れた和創美の代表でございます。そこから誕生した『和創美』を核に、その中の組織の中に『自分結い 大江戸和髪隊 和髪研究会』があり、他にも“輝く女性作りの会”『シャイニング』などの活動を通して、日本伝統文化についてお話をさせていただいております。また、ネットTV『japanアクターズTV』では、毎月第4土曜日に『大江戸八百八町 わそうび情報局』を放映しております。
『和創美』でのイベントでは、“着物を着てお出かけ”をテーマに、観劇、旅行、お花見などいろいろな催しで「きものネットワークづくり」を広めております。 それとは別に、女性起業家時代を基に自由が丘で、四柱推命・易・タロット・気学・風水・手相・人相・姓名学を占っている、開運占い館『Angel Garden』では占い師もいたしております。
丸山:『自分結い 大江戸和髪隊 和髪研究会』の広報部長をさせていただいています、丸山和子と申します。結婚相談所『株式会社結婚しましょ!「ブライダルサロン自由が丘」』を20年運営しております。楽しく天職として、今まで500組以上の成婚カップルをお世話させてきました。 着物と結婚相談というものが結びつかない方がいらっしゃるかと思いますが、私の中ではしっかりとしたコンセプトがあります。現代の日本では核家族化が進んだことからか着物が着られない女性が多いようで、そうなると和髪を結うなんてことは考えもしません。以前は三世代が揃うような家庭が当たり前で、生まれた時の産着に始まり、七五三、浴衣などの着物の着方をお母さんやおばあちゃんから教わって、自然に着物が着られるようになっていたのが、現在ではそれが難しい。世界の民族衣装の中で、おそらく日本人だけが学校に習いにいかないと着られない。少子化、結婚難などの問題の中、もう一度、日本文化に触れることで家族の大切さを取り戻してほしいと思います。
上籔:『自分結い 大江戸和髪隊 和髪研究会』あいれ屋支部長の上籔洋子と申します。フラメンコ教室 『EstudioAIRE』でスペイン舞踊を教えています。 着物と“和”が大好きで、和風のサロンを突然始めることになりました(今回はそのサロン『和の庵 あいれ屋』にお邪魔しています)。 まだ2カ月目ですが、『自分結い 大江戸和髪隊 和髪研究会』の支部として『和の庵 あいれ屋 和髪講習会』も開いています。 踊りや音楽といった本業ではない“和”を中心にしたイベントも企画し、ここでは個展や様々な講習会を開講しています。 そちらの床の間にある中途半端な大きさの小さな窓ですが、桜の時期には枝の先から花が川面に散る様 を眺めることができます。風流な人が桜を楽しむために作った窓なんですね。日本人の美意識の高さを感じました。和髪隊の方々をはじめ、“和”に関わる人とのつながりが増えてきた中で、そういったイベント活動に使えるスペースが欲しかったこともあり、ここを借りることになりました。『和の庵 あいれ屋 和髪講習会』は今回も大盛況でした。
★七五三の時に子供に日本髪を結いたい
島田:テレビCMで和髪を結っている女優さんの姿を見て、カツラではなく自分の髪で結えることを再認識し、和髪の研究を始められたキモネスト・サエ(鈴木佐江子)さん主宰のグループ『名古屋 和髪隊』があります。 昨年2月の節分時のイベントで『大須節分祭りにて和髪でお化け』を行ない、『和創美』メンバーの藤野紀子さんと林さんが和髪を結っていただきました。それをきっかけに、東京でも“和髪隊”を作りたいとなりまして……。『まゆ月』のスペースを提供するかたちで、去年の7月から活動を始めました。私が和髪を教えていただいたのはそのときが初めてでしたね。 和髪を結って三人で銀座の和光前で写真を撮っていると、日本人の方も海外の方もたくさんギャラリーが集り、一緒に写真を撮ってほしいとお願いされました。「七五三の時に子供に日本髪を結おうと思いましたが、どこで結っていただけるのですか?」と言う方もおり、「自分で結っているんで
すよ」と答えると「ぜひ参加したい」という方もいらっしゃいました。 その方も含めて1カ月後にはメンバーが10人に、それから1年が経ち、今では100人以上の方が参加されています。最近では若い人たちも増えてきました。
島田:今年5月の神田明神のお祭りでは、和髪隊60名でパレードをさせていただいたりと、そんな活動を見ていただいた方から、いろいろとオファーをいただくようにもなりましたね。 “グローバル化”とは言っても、日本の着物や和髪にみなさん親しみも感じられていますし、落ち着く、懐かしいといったお言葉もいただきます。日本人の心の中にはそういった感覚が残っているんですね。和髪、着物、歌舞伎も含め和の文化を今の時代だから大切にしていかなければと思っています。 和髪隊のメンバーそれぞれが主役であり広告塔になり、和の良さを発信をしていければという思いで活動しています。
★家族の絆を大切にしたい
林:サロン『まゆ月』で毎月第2土曜日、午前11時から3時間ほど、着物をお召しになっている方ならばどなたでも(お着物をお持ち頂ければお着付けも致します)参加可能な場所を提供いたしております。和髪のセットをしながら、自分で結うべきことをお教えしつつ、セット後はマネキンを使って細かな部分のレクチャーです。講習会が終わりましたら、東銀座・歌舞伎座の前や、歌舞伎座の屋上庭園、銀座和光の前などで集合写真を撮ります。すると日本人はもちろん海外からの観光客の方など、様々な方が足を止めて見てくださいます。
上籔:先月から『和の庵 あいれ屋』でも和髪の講習を始めさせていただいておりますが、先日はドイツ在住のソプラノ歌手の方が、ドイツでも着物姿なら和髪が結えたらいいなということで、帰国時に参加されました。来月も一時帰国されるスイスのフラメンコダンサーが参加されますよ。 海外で暮らしていると、日本のことを再認識し、日本らしさを出したいと思ったりするそうなんです。着物を着こなせるようになった次は和髪を……と思って参加される方は多いですよ。
林:私たちは家族の絆を大切にしたいと思っています。自分の子供はもちろんですが、近所のお嬢さんの髪も結ってあげられるような、文化や信頼、技術を身に付けていたいと思いますね。 ひとりでも多くの方に着物に、そして和髪にも興味を持っていただき、それを家族愛につなげていくこと、それが私たちの願いですね。
★江戸着物ファッションショー
島田:最初、『江戸着物ファッションショー』のお話をいただいた時には、私たちがいつも結っている和髪で良いと思っていたのですが、お話を詳しくうかがうと、「時代考証を理解してその時代にあった和髪を」ということだったのですね。見本の書籍と同じ形の髪型にしてほしいと依頼されたのですが、一部を除いて“作り方”まで記載されてはいないので、写真を見ながらその時代にあった髪型を作っていきました。モデルになったのは和髪隊のメンバーですが、衣装のサイズが昔の人の衣装なので小さく、身長が150cmくらいでないと着られなかったりもしましたね。 8人のモデルの頭を結うメンバーを幹部の中から選び、役割分担を決め、お手伝いのスタッフを合わせ1チーム3〜4人でグループを組みました。「燈籠鬢(とうろうびん)」など島田髷の結いかたを習っているメンバーを中心に、長尺の付け方などは歌舞伎の床山さんに教えていただいたりと、後試行錯誤しながら作りました。メイクは最初、普通のお化粧でという話もありましたけど、時代考証を考えて和髪を結っているのにメイクだけ現代風ではおかしいという考えから、メイクも資料を参考に仕上げました。
島田:本番のメイクはひとり5分という短い時間でした。本当に大変な作業でしたけど「想像以上のものを作っていただきありがとうございました」とお褒めの言葉をいただいた時には嬉しかったですね。モデルさんも本当に素敵でした。みんなの思いを踏まえて立派に表現してくれましたね。
林:それぞれのモデルには資料を渡してありましたので、どういった時代背景の人物なのかを良く理解して演じてくれたと思っています。みんなの代表という強い気持ちを持ってくれていました。みなさん興味津々でショーを見ていただきました。
★将来は、武道館で『和髪ジャック』をやりたい!
林:なるべく会員全員で参加できるイベントへの参加を拡げていきたいと思っています。将来は、武道館で『和髪ジャック』をやりたいですね〜(笑)。全国の“和髪好き”が集まって参加できるイベントが夢ですね。
丸山:今はあまり見かけないけれども、どこへ出かけても和髪を結わいている人がいる、そうなればと思っています。
林:日本人の心、伝統を愛する心をみなさんに伝えていきたいですね。会員全員が、そういう意気込みを持っておりますね。
島田:日本が好き、着物が好き、和髪が好き、日本の文化を未来に、世界に、家族に……。『和髪』を通じていろいろなところに発信していく。そんな背伸びすることのない身の丈にあった社会貢献が和髪隊の使命だと思っています。その場所や時代にあったイベントを開催していきたいですね。
『自分結い 大江戸和髪隊 和髪研究会』
日時:毎月第2土曜日 AM11:00〜14:30 自分で和髪結の稽古。
15:30 歌舞伎座前・銀座和光前で集合写真撮影
場所:サロン『まゆ月』東京都中央区銀座4-14-7 ファミールグラン銀座4丁目-1302(東銀座駅からすぐ)
問合せ先:03-5565-1741
会費:1000円(500円会場費+500円運営費&震災寄付金)
初回(和髪結いセット費用2500円)
●用意するもの:昼食弁当・飲み物・鹿の子・かんざし・髪飾り・櫛・毛タボ・ケープなど
●内容:自分で和髪を結い上げて、髪の文化を次世代に一緒に繋げてみませんか!
『和の庵 あいれ屋 和髪講習会』
日時:不定期(お問合せください)
場所:『和の庵 あいれ屋』東京都新宿区上落合2-17-3(中井駅から徒歩2分) 会費:2500円(お茶とお菓子付)
定員:10名限定(最低催行人数3名)
予約・お問い合わせ:leonayoko@yahoo.co.jp
●用意するもの:ご自分の櫛、瓶付油(ヘアワックス)、日本髪用のかんざし用の櫛、玉かんざし、鹿の子など(必要な物は、当日格安で販売もいたします)