ケルベロスの肖像

これは一大事!
本書の帯に「バチスタシリーズ、ついに完結!」とあるではないか!
ま、ま、まさかッ!
「バチスタシリーズ、永遠なれ!」と思う絶大なファンならずとも、衝撃のあまり、ページをめくる手が震える。

面白い!!
のっけから引き込まれる面白さに、いつしか手の震えも忘れる。毎作読者を多いに楽しませる東城病院の高階院長と不定愁訴外来、人呼んで「愚痴外来」担当の田口医師との軽妙なる会話のやり取りにニヤニヤが止まらない。例によってテンポの速い展開に胸がすく
。「医療もの」を読む楽しみは、むろん常に最高域で提供される。

楽しみながら読み進めるうちに、ふと気が付くとストーリーはぐいぐい潮の高さを増し、手に汗を握り、あたかも頭に血が上る感さえ。読み終えると、どっと疲れが出る。

さてそれでだが……
帯の謳いのとおり、バチスタシリーズは終焉なのか!?
その問いについては、当然ながらお答えは差し控えよう。
と言っておいてなんなんだが、人はいかなる状況に於いても「希望的観測」という花を胸に挿して歩きたい存在であるらしいと思う次第ではある。


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作者名:海堂 尊
ジャンル:ミステリ
出版:宝島社

ケルベロスの肖像