in多摩川 牛炊――”B(oatrace)級グルメ”の王様、ここに降臨

3月3日 東京都府中市 ボートレース多摩川

1月、2月は長期遠征なし。昨年、一昨年と月の半分から3分の1は東京を離れてボートレース場のある地域を渡り歩く、というのが常態化していた僕にとって、月の大半を東京で暮らしたこの2カ月はかえって異常事態であった。おかげで、体調を崩した。肉体的にはかなり楽な2カ月になるかと思いきや、なぜか身体は悲鳴をあげたのである。熱が出て寝込むわ(インフルではなかった)、胃の激痛で起き上がれなくなるわ、こうして伏せこんだのは実に数年ぶりのことである。実は3月も長期遠征がない。ボートレースのビッグレースは、3月15日〜20日の日程でSG総理大臣杯が控えているが、これが棲家から徒歩で通えるボートレース平和島での開催なのだ。この生活に慣れないと……って、本来こっちが当たり前なのだが。

2月は単発の出張があって、ボートレース住之江とボートレースびわこ。住之江は先月も取り上げており、またびわこは午後遅くの訪問だったためにグルメアタックはなし。というわけで、今回は先日イベントで訪れたボートレース多摩川について取り上げておきたい。東京都府中市にある同場はもちろん地元レース場ではあるが、首都圏以外にお住いの方にとっては旅打ちで訪れる場所でもあろう。他地区の方はぜひとも、多摩川で旅ゆけばバクチメシを堪能してほしい。

なんたって、多摩川では「B級グルメ(BはBOATRACEのB)の王様」があなたを待っているのだ!
これまで紹介したB級グルメは、大村のチャンポンも、住之江の焼きそばも、尼崎のたこ焼き(多幸焼き)も、それ自体はごく当たり前のメニューである。そのレース場に行かねば食べられないわけではない。そのレース場に行かねば、そのメニューの「極上の逸品」を食べられないだけで、メニュー自体は珍しいものではない。だが、多摩川には、ここ以外ではあまり見かけないメニューがある。そしてそれは、バクチメシの横綱とも言うべき番付上位の絶品B級グルメなのである。
その名も、牛炊! ぎゅうすいと読むそのバクチメシは、まさしくB級グルメの王様なのだ。


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これぞ“King of 多摩川グルメ”いや“King of Boatraceグルメ”の牛炊だ!
これはみんな府中まで食べに行く価値アリ!!

簡単に言うなら、牛肉雑炊、である。これを略して牛炊。牛肉を柔らかく煮たものが乗っけられた雑炊。牛肉はカルビクッパに乗ってるやつを想像していただければよろしいかと思う。丼にご飯をよそい、牛肉を乗っけて刻んだネギを散らし、牛のエキスが絶妙にしみ出した出汁をかける。これがもう、壮絶に美味いのだ! その味わいは実に優しく、穏やか。しっかりとコクを醸し出しながらも、決してしつこくなく、むしろあっさり風味の癒し系バクチメシである。その美味さはボートレースファンなら先刻承知。かつては早々に売り切れることもあった(最近はそういう憂き目にあうことはほとんどなくなった)。
この牛炊のすごいのは、一杯で二度美味しいことである。牛炊を注文するとついてくるキムチ。これは、単なるお新香ではない。いや、お新香として味わうべきではないのだ。優しい味に心と腹を満たしながら、半分ほど食べ進めたなら、いったん手を休めていただきたい。そして、おもむろにキムチを投入! これで劇的に味わいが変わるのである。あれだけ穏やかだった牛炊が、一気に刺激的なピリカラ風味に変身! 舟券でボロ儲けしたろやないかい!と、テンション急上昇間違いなしである。この「柔」と「激」の両方が、深く巨大な美味とともに味わえるのが、多摩川の牛炊。これと出会わずに人生を過ごすボートファン以外の方に、僕は強く同情を覚えるものである。

多摩川ボートは、隠れた美味グルメの宝庫でもある。香川県がうどん県として名を馳せるよりはるか昔から、讃岐うどんの屋台が出ていたし、「ほねく」と呼ばれる薄型さつま揚げも小腹を満たすには最高である。また、10年ほど前まではとんこつラーメンの屋台があり、あまりの美味さに国立だか国分寺だかに店をオープンしたという噂もあった。ラーメンといえば、正門からもっとも近い売店のような店で出すラーメンも優しい味わいが健在。また、その隣で売っているカレーライスは、牛すじとともに煮込まれる濃厚な味わいで大人気である。



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なんでこんなにおいしいのかよ、
そう思わずにいられない正門前ラーメン


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本格派過ぎ? 牛スジで煮てますよカレー

多摩川ボートは東京都府中市にある。府中に降り立ったならば、B級グルメ愛好者なら東京競馬場ではなくボートレース多摩川を目指すべし、なのである。

※次回は4月5日に公開です。3月15日から平和島・SG総理大臣が開幕! 平和島でも場外発売でも、みなさんお楽しみに!
ご本人さま登場のインタビューもよろしく!