あそびすと読者の皆様、謹賀新年でございます! 新年、いかがお過ごしですかねー。俺は日ごろの不摂生がたたったのか、年末からひどい胃痛に悩まされ、お酒も飲まずおせちも食べず、白湯を飲んでうどんを食べております(泣)。健康って大事ですね、やっぱり。……さて、そんな当たり前のことに気付いた年初一発目の音楽総研、今回は2000年日本公開の英国映画、『Still Crazy 』を紹介しますよう!
70年代に人気を博しながらも、中心メンバーの死、メンバー間の不仲により解散した伝説のバンド、ストレンジ・フルーツ。現在(20年後)の元メンバーたちは、コンドームのセールスマンや屋根葺き業者、落ち目のソロアーティスト等、決して順調とは言えない生活を送っています。そこにラストライヴとなったフェスティヴァルの主催者の息子から再結成を打診され、それぞれに事情を抱えていたメンバーたちは再結成を決心。しかし、大物バンドの再結成だというのにレコード会社からはあまり期待されず、まずはヨーロッパツアー(という名のドサ回り)に出発する……というのが大まかなストーリー。
なんだか前回紹介した『スパイナル・タップ』みたいだけど(笑)、こちらは一旦解散したバンドの再結成の物語。公開当時は世紀の変わり目ということもあってか、大物バンドの再結成がちょっとしたブームになっていたし、タイムリーな話題でもありました。現実のバンドもそうだったように、再結成には悲喜こもごものドラマがありまして……この映画もその辺りが実にうまく描かれています。またねえ、スパイナル・タップほどバカではないものの、当然(?) コメディタッチで、英国映画らしいセンス・オブ・ユーモアが物凄くくだらない(笑)。
ストレンジ・フルーツはカリスマヴォーカリストのキースと、その兄の天才ギタリスト、ブライアンが中心人物だったという設定なんだけど、キースはドラッグ中毒で死去。後任のヴォーカリスト、レイは華があるものの、他のメンバーたちとはウマが合わず、再結成後も事あるごとにメンバーと衝突。ブライアンは弟の死を悼んでか、ますますドラッグに耽溺し、精神を病んで行方不明(ギタリストっぽいねー)。バンドは新しく若いギタリストを加入させてツアーに出発するんだけど、こういうのってほんとにありそう。実際のバンドがいくつか頭に浮かぶもん。
バンドは長いブランクのせいもあり、最初のうちは酷い演奏をしてしまうんだけど、ツアーを重ねるうちにメンバー間の絆が戻って演奏もタイトに。ステージ上で醸し出す無敵感とも言うべきオーラ溢れる姿が、痺れるほどカッコいい……って、もちろん演出なんだけど、メンバーの演奏する姿はちゃんとさまになってるし、本物っぽいのよ。とくに、ブライアンがコートを着たままギターを弾く姿とか、センシティヴかつクールな表情なんかがほんとギタリスト然としてるんだよなあ。ちなみに、俳優たちのステージ上の仕草はSPANDAU BALLET (懐かし!) の元メンバーが指導したんだそう。
で、また曲がいいんだよね。(しょっちゅう書いてる気がするけど)70年代のブリティッシュロックテイストが満載。それもそのはず、なんと、FOREIGNER のミック・ジョーンズや、E.L.O. のジェフ・リン、ARGENT (というよりRAINBOWのヒット曲 で有名?)のラス・バラードが作曲に参加。いやもう、この名前でピピっと来るのは俺だけじゃないでしょう。俳優たちは実際には演奏してないみたいなんだけど、歌はそれぞれ俳優が歌っていて、これまた味があって素晴らしい。ストーリーはもちろん、サントラ だけでも充分に楽しめると思います。このバンド、実際にいたら、絶対にファンになってたと思
うなあ。いや、サントラ買っちゃったし、もうすでにファンと言ってもいいか(笑)。
俺が思わずグッときてしまったのは、メンバーがツアーに出発する時に、奥さんに「せっかく仕事がうまく行ってるのに!」と泣かれても、「ああ。でも、嫌でしょうがなかった!」と返すシーン。すごく共感しちゃってねえ。バカだなあ、俺。でも、バンドに限らず、やり残していると感じることは、皆さんにもあるんじゃないでしょうか。男ってほんとバカよね。もちろん男だけじゃなく、ブライアンの恋人だったマネージャーのカレンも、安定した生活を投げ打って、バンドの成功のために奮闘するんだけど。男も女もみんなバカ。でもさ、いくつになったって好きなものは好きだし、みっともなくたっていい。安定を求めるのか、それとも挑戦を続けるのか……、人それぞれだし、どっちがいい悪いじゃないけど、俺は断然、後者を選ぶ。あ、だから俺はまだ独り身なのか(苦笑)。まあ、俺はそれこそStill Crazyってわけでね……。……、え、えーと、こんなワタクシですが、今年もよろしくお願いしますね。引き続きロックしますよう!
※ikkieがなんと「出張ギター教室」を始めてしまいました!
とにかくここからアクセス! 動画もあるよん。
http://dokodemoguitar.com/