春だ!テニスだ!!テニス846.シブヤだ!!!

「球春到来」、なんて言葉がある。
プロ野球のキャンプが始まる2月1日であったり、春のセンバツ高校野球の開幕であったり、それこそプロ野球の開幕であったり……とかく野球にてよく使われている言葉だが、考えてみれば春から盛んになる球技は野球以外にもたくさんある。サッカーのJリーグも先日開幕したばかりだし、プロゴルフも初春からシーズンインする。そういえば先日は世界卓球もやっていた。
春に開幕する球技……だけでなくスポーツが多いのは、身体が動きやすい暖かな気候となることからだろうが、それはプロスポーツ選手だけでなく趣味のスポーツ愛好家でも一緒。暖かくなってきたしそろそろスポーツでもしようか、そう思って休日にクラブやバットを持って出かけていくのが無上の喜びという人もきっと多いことだろう。
今回はそんなケースで“ラケット”を持って出かけてみよう。もっとも“TableTennis”は秋口にご登場いただいたので(『国際卓球渋谷店』)、春は暖かな屋外中心の“本家Tennis”にしてみよう。うかがったのは『桜や薬品』の角を入ったビルの3階にある『テニス846.(ヤシロ)シブヤ』である。
 

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「ようこそいらっしゃい。桜丘にあるテニスショップはいま当店を入れて……4軒かな。しかも全店国道246号の近所に集まっている、“テニスの秋葉原”みたいなエリアですよね、ここは」

そう迎えてくれたのはビルの入り口、そしてお店の玄関にある似顔絵にそっくりな店長・山下宏さん。その傍らでは職人さんがラケットにガットを張っている。
「これはガットが切れてしまったのを張り直しています。最初にラケットを買っていただいたり、または持ち込みで、ガットを張るのも当然ながら承ります。え、売っているラケットにはすでにガットが張ってあるのでは、って? いやいや、たとえば量販店などではそうして売っていますが、ガットが緩んでしまうとかそういう理由以前に、“ガットが張っていないラケット”からが普通なんです。ガットにも特徴がありますから、自分のスタイルに合わせて選択する……ほら、『国際卓球』さんで、ラケットだけでなく無数にラバーがありましたでしょ? それと同じですよ」
初心者の方でもそうして作ったマイラケットのほうが扱いやすいですし、また道具に愛着も湧きますよね、山下さんがそう付け加えたことに頷きつつ、「いまはラケットもガットも道具の質が格段によくなっていますから、作ったラケットならば初心者の方でも勝手にラケットが打ち返してくれますよ!」という店員さんの声にみんなで笑う……なんとも家庭的な居心地のいいショップである。
「まあ、大きなお店ではないですからね(笑)。これは当店の特徴かと思うのですが、新しいガットが出たら必ずみんなで試しているんですね。それでお客さんに感触を伝えることができる。これは大きなお店ではなかなか徹底できないことかもわかりませんし、言ってみれば家庭的な、親身にアドバイスができるかもしれませんね。スタッフのみんなと違って、私はテニスの技術がないから役に立たないけれど(笑)。初心者へのアドバイスはそういう声も重要? ああ、それはそうかもね(ニッコリ)」

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山下さんがこの場所に『テニス846.シブヤ』を開いたのは11年前。もともと40歳から趣味でテニスを始めたという山下さん、曰く「初めてすぐから10年間くらいはメチャメチャラケット握ってましたよね。それが今はクラブに浮気しています(笑)」と言うくらい熱中したことからテニスショップの手伝いをも始めた。
「そのときに今……そうそう、『マンダラ』が入っているビルの4階で、知人がテニスショップをやっていたんです。そこを手伝っていたのですが、不振で3年で閉じることになりまして、それならば私が後を……となって、移転してここに来たんです。桜丘トータルでは14年間になるわけですね」
そこで付けられた店名が『テニス846.シブヤ』なわけだが、この“846.”には驚きのこんな意味がある。
「実は……今は卒業いたしましたが、歌手の八代亜紀さんのバックでギターを25年弾いていたのですね(照)。いろいろな思い出がありますし、せっかくなので店名にさせていただきました」
だから私もラケットではなくギターならばけっこうアドバイスできるのですけれどもね……その山下さんのつぶやきに店内はまた笑顔。取材の間にやってきた学生さんのガット張り直し依頼の気さくな対応……繰り返しになるがとても居心地がいい。思わずテニスを始めてしまいそうである(笑)。

「ぜひ始めてください(笑)。テニス業界ではテニスブームがいくつかあり、たとえば20年以上前に女子大生がみんなラケット持って歩いていた時代があったり、いまも伊達公子さんの復帰や錦織圭くんの活躍なんかで盛り上がっているとは思います。ですが、たとえば名門のテニスクラブなどが高齢化で幕を閉じるなど、競技人口は減ってきてしまっているのが現状なのですね。ここ桜丘でお店を開けて11年、その当時に比べて格段に人は増えましたし、若い人も多くなったと感じています。テニスは私のように40歳からでも楽しめるスポーツですが、桜丘に増えた分の若い人たちにも楽しんでいただければと思います。ぜひ私の似顔絵の看板、見に来てください。そのときはお店を上げてラケットとガット、アドバイスをさせていただきますよ(ニッコリ)」

そうしたらここらへんのラケット、みんな売れちゃうな……誰かのそのつぶやきに、店内がまた暖まる。春の季節にピッタリのスポーツ、テニス。桜丘の片隅にある家庭的なショップは、今日も笑顔の桜満開でお客さんを待っている。

Q・あなたにとって桜丘とは?

「親しみやすい街、ですかね」

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ラケットとガットだけでなく、もちろん小物も扱っております

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ラケットはドン来いの品揃え。壮観ですね

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「『明日からテニスやります!』といきなりやってきて言われた場合」
そんなムチャぶりで選んでいただいたラケット&ガットは、
babolatのPURE DRIVE2012(1万8500円)&xcel(2520円)。
これにガットを張っていただく工賃が3150円、合計2万4170円です


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【今回の桜な人々】
テニス846.渋谷
山下 宏さん

〒150-0031
東京都渋谷区桜丘町3-20 山賀ビル3F
マップ

ホームページ
 http://www.tennis846.com/